匠の技を見せる内部空間
建物内部は「日本らしさ」を随所に散りばめたデザインとなった。コンコースに風と光を入れる「風のテラス」は、天井にあんどんのような照明を配置した。この空間はイベントスペースとして利用できる空間となる。
VIP用のエントランスは設計JVが「折り紙天井」と呼ぶデザインとした。来場者はエスカレーターや階段で上階に上がる際、この天井のユニークな形状を目にしながら進む。VIPラウンジは一段と和風の色合いが濃くなる。大判ガラスの窓を覆うサンシェードは障子と格子だ。日本らしさを演出しながら明るく開放的な空間を表現したという。
最上級の要人が使うエントランスやラウンジは木材を多用する。隈氏が「日本独自の匠の技」と紹介する大和張りの船底天井で各国首脳らを迎える。
隈氏は維持管理のコストを抑える工夫を施したと説明する。例えば、折り紙天井の壁紙は和紙調だが、本物ではなくクロスを採用する。本物の和紙ではメンテ費用が高くつくためだ。他にも木材をできるだけ雨がかからない角度に配置して、メンテナンス費用を抑えているという。
JSC新国立競技場設置本部長の池田貴城理事は「新国立のメンテナンスには年間24億円が必要と見積もっている。より具体的な数字は今後詰めていく」と話す。