では、具体的に街づくりをどうするのか。現在検討中ですが、例えばこうした案があります。「スマートスタジアム」が話題になっていますが、日本ではなかなか実現していない。こうしたものをスタジアムだけなく、関内やみとみらいなど街も含めてスマート化してはどうか。

 私は総務省で高解像度の4K/8K映像の推進に携わっていました。そこで、試合をスタジアムで見るだけでなく、4K/8K映像対応のビジョンでパブリックビューイングを実現してはどうか。

 また、横浜公園自体をスポーツの場とすることも考えられます。例えば、米ニューヨークのブライアントパークでは、スポーツメーカーがスポンサーになってアウトドアでフィットネス、ヨガを行っています。

 DeNAはランニングクラブを所有していますが、その資産を活用して2017年1月22日には、「ハマスタ駅伝2017」を開催しました。これは横浜スタジアム内を走るイベントですが、初回にもかかわらず約5000人が参加しました。横浜はスタジアムを活用しながら、ランニングに向いたコースを作れると思います。

 また、ベイスターズはオリジナルの地ビールを作って球場内で提供していますが、それを球場外でも味わえるようにしたい。このようにして、興行がない日でも日常的に盛り上がりを作って街全体がエンタメ化すれば、スポーツを核とした統合型リゾートに発展できる可能性があります。

中核施設がオープン

 これまで紹介した構想を、“机上の空論”と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、既に我々は歩みを進めています。「THE BAYS(ザ・ベイス)」という取り組みをスタートさせました。

旧関東財務局の建物内に「THE BAYS」をオープン。「横浜スポーツタウン構想」の中核施設となる
旧関東財務局の建物内に「THE BAYS」をオープン。「横浜スポーツタウン構想」の中核施設となる
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 日本大通りと横浜公園が結節する場所に、市の指定有形文化財である「旧関東財務局」という建物があります。ここを我々が管理することなり、「横浜スポーツタウン構想」を実現するための中核施設として「THE BAYS」を3月18日に開業させます。

 THE BAYSの外観は古く、シックな建物で、地下部分にフィットネススタジオ、1階に飲食店舗、2階はシェアオフィス、そして我々ベイスターズも入居します。シェアオフィスには「CREATIVE SPORTS LAB」を開設し、スポーツの産業化に取り組んでいる様々な方々に入居していただき、新たな産業がここで生まれます。

 このように、12球団がどこもやったことがない「コミュニティーとスポーツ」をテーマに、街づくり、そして街に向けて発信する拠点を作ることができました。2020年に向けて、球場の大規模改修、横浜市役所の跡地を含めた街づくりに参画し、様々なアイデアをいろいろな企業とともに実現していきます。

「横浜スポーツタウン構想」の展開イメージ(図:YDB)
「横浜スポーツタウン構想」の展開イメージ(図:YDB)
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 かつてベイスターズはどちらかと言えば、弱小で印象が薄い球団でした。でも、DeNAが経営に参画して以来、地域の伝統に支えられ、一定の成長を得られました。これからは我々の力を発揮する時ということで、「SHOW OUR FORCE」をスローガンにしています。ファンの力、横浜の力、球団社員の力をそれぞれを発揮しながら、新しい価値観をスポーツ、横浜という切り口で創出する取り組みを推進していきたいと思います。(談)

(次回に続く)