DeNAが球団経営に携わって2016年12月で5年がたちました。2016年シーズンは、主催した72試合の合計で約194万人が来場。この数字は、買収直前の2011年シーズンと比較すると76%増で、伸び率は12球団でダントツです。
これは横浜DeNAベイスターズの取り組みが奏功しただけでなく、プロ野球が“再発見”された結果と考えています。(1954~1973年の)高度成長期は「巨人・大鵬・卵焼き」と言われたように、地上波放送で万人が同じコンテンツを楽しむ時代でした。
しかし、今は違います。地域や多様性に対する意識が進んでおり、スポーツが新たな視点で捉えられています。私が2016年4月に横浜スタジアムの社長に就任してから同スタジアムでは71試合を開催しましたが、そのうち大入りが54回と過去最高を記録しました。横浜スタジアムで地域のチーム・ヒーローを応援する、という楽しみ方がファンに浸透してきたと感じています。
DeNAは5年前、赤字覚悟で球団経営に参画しました。しかし、売り上げは大幅に増え、2016年1月からの「球団・球場一体経営」に伴い、営業損益も黒字化を達成しました。自立経営が完全に視野に入ったのです。
もちろん、最も重要なのはファンの満足度です。昨シーズンは初めてクライマックスシリーズに出場し、ファーストステージで読売巨人軍に勝つことができました。最終ステージでは広島東洋カープに敗れましたが、ファンに期待感を持たせるチームに成長しました。
魅力的な強いチームと、チームを支える強固な事業体制の両輪を、ようやく確立できました。我々は今後、その両輪をきちんと回していくだけでなく、その先を見据えています。
ハマスタだけでできる体験を
横浜DeNAベイスターズはこれまで、「コミュニティボールパーク」化構想を掲げ、野球発祥の地である米国の好事例を参考にしながら、数々の施策を打ってきました。地域に開かれ、野球をきっかけに人々の間にコミュニケーションが生まれるような「街の活性化の中心」を目指す取り組みです。
お客様に対しては、野球のコアファンでなくても、横浜スタジアム(ハマスタ)に来れば“ここでしか得られない体験”を多くできるようにすることを目指しました。
例えば、横浜スタジアムの座席にさまざまなBOXシートを新設。コアファンを30~40歳代男性のアクティブサラリーマン層が中心とし、彼らや彼らの周りにいる野球を知らない女性や子供でも、楽しめる環境を作りました。
ビールサーバーが付いて仲間と飲みながら楽しめる「スカイバーカウンター」や、家庭でテレビを見るかのようにテーブルを囲みながら観戦できる「プレミアムテラス」などを設置。ベイスターズに対する愛着を持ってもらうために、座席もチームカラーのブルーに変更しています。