第5世代移動通信システム(5G)を推進する場として、2014年9月末に産学官連携の「第5世代モバイル推進フォーラム」が発足した。会長に就いたのは、黎明期からモバイルの研究を続け、多くの人材を育てたことで知られる京都大学の吉田特任教授。フォーラムの狙い、2020年の情報通信について聞いた(取材日は2014年12月9日)。
―第5世代モバイル推進フォーラムの設立経緯や概要を教えてほしい。
2013年ころから世界中で「5G」(第5世代移動通信システム)がホットトピックスになってきた。どのようなビジョンで、何がコア技術になるのかの議論が始まった。
そんな中、総務省の電波政策ビジョン懇談会が2014年7月に公開した中間取りまとめの中で、日本としての5Gの研究開発の取り組みを加速する必要があると明記された。これが契機となり第5世代モバイル推進フォーラムが2014年9月30日に立ち上がった。
日本における5Gの技術的な検討は、これまで電波産業会(ARIB)内に設置された「2020 and Beyond Ad Hoc」が進めてきた。ただARIBのメンバーしか参加できず、産学官を含む誰もが参加できるオールジャパンの体制で5Gを検討する場が求められていた。
第5世代モバイル推進フォーラムでは4つの委員会を作った。移動通信にとどまらず、アプリケーションを含めて利活用を議論する「アプリケーション委員会」や、ネットワーク仮想化なども検討する「ネットワーク委員会」なども設置し、幅広いプレーヤーが知恵を出し合える場にしている。