「IFA」の取材で筆者は毎年、ドイツMesse Berlin社で取締役 IFAグローバル統轄本部長を務めるJens Heitecker氏にインタビューしている。今年は、IFAの変容の話、日本メーカーのアクティビティー、注目の製品など、幅広い話題について聞いた。(聞き手は筆者)

IFAグローバル統轄本部長のJens Heitecker氏
IFAグローバル統轄本部長のJens Heitecker氏

――IFAはここにきて、変容してきたように思えます。かつては「商品を売るための見本市」という性格でしたが、昨年あたりから、ものづくりを支援し、新しい技術を紹介し、未来を見通すIFAを目指しているように見えます。

 仰ったような新しい側面と、以前からある「クリスマス商戦に向けてのメーカーと販売側の交渉の場」という側面の2つの要素が、バランスよく共存していると、私は思います。

――確かに大手メーカーのブースの半分は商談スペースで、バイヤーとの交渉が熱を帯びていました。

 大手メーカーの出展は、いろいろな効果をもたらしてくれます。商談の件もそうですが、メーカーのCEOも来られます。そうすると、単に流通側のバイヤーだけでなく、関係を持っている、または関係を持ちたいと思う部品メーカーも集まるのですね。そうした二面性があると、私は思います。

南入り口のIFAの大オブジェ
南入り口のIFAの大オブジェ
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――IFAは特に「未来を語る」ことに熱心になったように思えます。

 まさにそうです。IFAに出展されるメーカーと来場されるお客さまに未来のビジョンを与えて、技術開発やビジネスに生かしてもらうことは、IFAの重要な使命だと考えています。IFAでは3つの分野で、未来を提案します。まず、クリスマス商戦という極めて近い未来です。これは、各メーカーのブースの新製品に見ることができます。2~5年後の近未来は、今年から始めた「IFA NEXT」でイノベーションをお見せします。10年後の未来になると、具体的にはお見せできないので、「IFAサミット」で討論して提示します。