筆者は、「IFA」(ドイツ・ベルリンで毎年9月初めに開催される家電見本市)を2011年から毎年取材しているが、今年の出し物で最も心を打たれたのが、シャープの復活だ。現地時間の8月31日の午後4時に開催された記者会見の冒頭で、同社社長の戴正呉氏が「SHARP is BACK!」と力強く宣言した。

現地時間の8月31日の午後4時に開催された記者会見の冒頭で、戴正呉社長が「SHARP is BACK!」と力強く宣言した。
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現地時間の8月31日の午後4時に開催された記者会見の冒頭で、戴正呉社長が「SHARP is BACK!」と力強く宣言した。
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現地時間の8月31日の午後4時に開催された記者会見の冒頭で、戴正呉社長が「SHARP is BACK!」と力強く宣言した。

 確かに復活である。シャープは2012年まで、韓国LG Electronics社が現在占拠している18番館に大きなブースを構えていた。しかし、その後シャープは経営危機に襲われ、2013~2014年は撤退。2015年に、欧州におけるSHARPブランドの使用権をスロバキアの民生用電子機器メーカーUniversal Media Corporation /Slovakia/ s.r.o(以下、UMC)に売却。2015~2016年は、UMCがSHARPブランド製品を自社ブースで展示していた。特に2016年はシャープ本体から技術やマーケティングの協力を得て、まるでシャープの発表会でないかと見まごうほどの、シャープ色の濃いブースだった(関連記事:シャープの欧州ビジネスが復活?)。

シャープは2013~2014年は展示なし。2015~16年は、UMCがSHARPブランド製品を自社ブースで展示。その後、シャープがUMCを子会社化し、今回復活。
シャープは2013~2014年は展示なし。2015~16年は、UMCがSHARPブランド製品を自社ブースで展示。その後、シャープがUMCを子会社化し、今回復活。
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 2016年9月時点では主体はUMCにあったが、2017年2月にシャープがUMCの株式の56.7%を得て子会社化し、本格的にシャープとして欧州市場を再開拓する方針を固めた。そして今回のIFAでの「SHARP is BACK!」。

鴻海精密工業、シャープ、UMC社の関係図。
鴻海精密工業、シャープ、UMC社の関係図。
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 注目すべきは、「新しい切り口で、新市場づくりを行う」と発表したことだ。それが「8K」である。会見では、シャープ 副社長執行役員で欧州代表の石田佳久氏が「Change the world with 8K and AIoT」という言葉で説明した。まず2017年に日本でBtoBの8Kビジネスをスタートさせ、欧州では2018年3月に8K液晶モニター「LV-70X500E」を発売する。その先には、民生用8Kテレビの市場投入も当然視野に入れているはずだ。シャープは、2020年には23億ユーロ規模まで8K市場を成長させるという。

欧州向けの初の8K液晶モニター「LV-70X500E」
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欧州向けの初の8K液晶モニター「LV-70X500E」
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欧州向けの初の8K液晶モニター「LV-70X500E」
2020年には23億ユーロ規模まで市場を成長させるという。
2020年には23億ユーロ規模まで市場を成長させるという。
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