ジェットプラック。蛍光灯の光を反射させると、非常に滑らかな反射が。黒い樹脂の部分もかなり目立たなくなってきている。アップルの特許によれば、黒だけではなくさまざまな色で、異なる素材同士の色あわせが可能な染色技術を持っているようだ
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ジェットプラック。蛍光灯の光を反射させると、非常に滑らかな反射が。黒い樹脂の部分もかなり目立たなくなってきている。アップルの特許によれば、黒だけではなくさまざまな色で、異なる素材同士の色あわせが可能な染色技術を持っているようだ

 米アップルのiPhone7シリーズのジェットブラックと呼ばれる光沢の黒色モデル。未だに入手が困難となっているほどの人気カラーだ。実はこの色を実現するにあたって、アップルはいくつかの新しい技術を採用していることが、同社の特許や関係者への取材から分かった。

 iPhone7シリーズの新色「ジェットブラック」の特徴は、7000系と呼ばれる高硬度アルミニウム合金を使ったきょう体と、そのきょう体をつなぐ役割をする樹脂のパーツとが、両者区別がつかないほど一体となっている点だ。

 これまでのiPhoneシリーズでは、電波を通すためのアンテナとなる樹脂の線が本体を明確に横切っており、それがアップルの目指す「1枚の板」のようなスマートフォンのデザインの邪魔をしていた。iPhone7シリーズでは、この樹脂の線ができるだけ背面から見えないようレイアウトに工夫されているが、ジェットブラックではさらに、きょう体に使われた樹脂とアルミの色や質感を可能なかぎり同じにすることで、樹脂の存在を消している。

 アップルが米国で取得した特許、第9438710号によれば、まず複数のパーツに分かれたアルミ合金のきょう体とそれをつなげる役割をする樹脂を2色成形技術を使って一体化させる。その後、きょう体に陽極酸化処理を施して、さらに黒色に染める。この際に、樹脂の素材や染色の溶媒を工夫して、アルミと樹脂とを一緒に染色する技術アップルは開発した。これまで異なる素材の着色や染色は、素材ごとに分けて行うことが常識だったが、1つのプロセスで同じ溶媒で染め上げることで、両者の色の差を可能なかぎり縮めようというのだ。