任天堂の新型ゲーム機「Nintendo Switch」の売れ行きが絶好調だ。2017年3月3日の発売から6カ月以上が経過した現在でも、品薄状態で入手しにくい状況が続くほどの人気ぶりが続いている。前世代のゲーム機「Wii U」での失敗を巻き返し、Wiiで達成した1億台という大台に再び乗せることができるのか。ゲーム業界に詳しいSMBC日興証券 株式調査部 シニアアナリストの前田 栄二氏に、人気の秘密を聞いた(聞き手=根津 禎、山田 剛良)。

 「Nintendo Switch」は確かに売れているし、日本だけでなく、世界中で好調で、店に入荷するとすぐに売れてしまう「品薄状態」にあります。この勢いを見てゲーム業界には、「『Wii』に迫る勢いで、Wiiのように1億台も夢じゃない」と語る気の早い関係者もいます。ですが、SwitchがWiiほどに売れると結論付けるのは早計だと私はみています

「Nintendo Switch」の外観
「Nintendo Switch」の外観
「スプラトゥーン2」の発売に合わせて出荷された「スプラトゥーン2セット」でJoy-Conの色が特別仕様色になっている(出所:任天堂)
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 現在のSwitchの売れ行きを牽引しているのは、任天堂の人気タイトルです。最も売れているのは、「ゼルダの伝説」シリーズの最新作「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」。Switch本体の発売と同時に売り始める、いわゆる「ローンチタイトル」で、2017年6月までの累計販売本数は392万本もあります。

ローンチタイトルの「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」
ローンチタイトルの「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」
2017年6月までに累計392万本を販売し、Switch人気に火を付けた(出所:任天堂、©2017 Nintendo)
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 2017年4月28日に発売されたレースゲーム「マリオカートシリーズ」の最新作「マリオカート8 デラックス」も好調です。2017年4~6月の実質2カ月ほどで、354万本も売れました。マリオカート8は、Wii U向けが既に先行して発売済みでした。それにもかかわらず、ここまで好調なのは珍しい現象です。Wii Uの販売台数から考えると、Wii U版はあまり売れておらず、Switchユーザーにとっては、完全な「新作」に見えたのかもしれません。