「Nintendo Switch」は、いまなお全世界的に品薄状態にある。毎週末、大手量販店では抽選販売が行われる異常事態が継続中。当選倍率は、低いときは5~6倍、高いときは30倍前後になることもあるようだ。発売から5カ月たってなお、ここまで入手困難なゲーム機は前代未聞だろう。

 出荷台数が少なすぎるわけではない。任天堂が公表した短期決算の数字によると、3月に発売されてから6月までの全世界出荷台数は470万台だ。2006年11月に発売され、累計1億台を突破して史上最も成功したといわれた据え置きゲーム機「Wii」は、発売から翌年3月までの4カ月強に全世界で584万台を出荷したが、これにはゲーム機が爆発的に売れるホリデーシーズンが含まれる。そう考えると、Nintendo Switchは、Wiiと比べて遜色ない台数が市場に供給されているといっていいのだ。

7月中旬。もっとも入手困難だったころの量販店のNintendo Switch抽選結果。発行されている申し込み番号に対して、当選数は非常に少ない。とてつもない抽選倍率である。出荷数の増大に伴い、最近の倍率は5~6倍まで落ちているようだ
7月中旬。もっとも入手困難だったころの量販店のNintendo Switch抽選結果。発行されている申し込み番号に対して、当選数は非常に少ない。とてつもない抽選倍率である。出荷数の増大に伴い、最近の倍率は5~6倍まで落ちているようだ
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品薄の原因は過去にない欧州での人気?

 にもかかわらず入手困難になっている要因は2つある。1つは、従来の任天堂ゲーム機の人気がファミリー層から火が着き、徐々に大人たちに広まったのに対し、Nintendo Switchは、いきなり全年齢のゲームファンを夢中にさせてしまったことだ。発売直後からゲーマーを唸らせるタイトル群が用意されたためか、あらゆる年齢層の人たちがゲーム機を求めた。

 もう1つの要因は、どうやら欧州市場にあるようだ。Wiiの初動4カ月のデータを見ると、日本と米大陸を除く地域には、全体の25.2%(584万台の中の147万台)しか割り当てられなかったが、Nintendo Switchは全体の34.7%(470万台の中の163万台)が割り当てられている。もともと欧州は任天堂ゲーム機の初動が鈍く、発売1年後くらいから人気が高まる傾向があったのだが、Nintendo Switchは、そんな慣例を破るかのように、全世界でタイムラグなく人気が沸騰した。

 任天堂は、既にNintendo Swichの増産態勢をとると発表しているが、人気も加速する一方だ。もしかすると、年内いっぱいは品薄状態が続く可能性もありそうだ。