実証実験フェーズから商用フェーズへ向かっているNFV(Network Functions Virtualisation)。商用化に向けたポイントの一つが相互接続性の確保、つまりマルチベンダー体制の実現である。さらにNFVの基盤部分をオープンソース化しようとする動きもある。
NFVが実際に相互接続性がどの程度、担保できるかどうかは、やってみないと分からない点が多い。逆に相互接続性が担保されないと、新たにソフトウエアのネットワーク機能(VNF:Virtualised Network Function)を追加した場合も、同じベンダーの基盤(NFVI:NFV Infrastructure)を用意しなければならず、NFVによるメリットは半減する。
NTTドコモによると「☞MANOとNFVIは当初は1社による提供でもかまわない。しかしVNFについてはマルチベンダー体制が必須」(同社R&Dイノベーション本部ネットワーク開発部の音洋行ネットワーク仮想化基盤担当部長)という。つまり、MANOに含まれる☞VNF ManagerだけをVNFと同一のベンダーにして、VNF Managerと☞VIM、そしてオーケストレーター間の相互接続性が担保できればマルチベンダー体制が確保できることになる。
Management and Orchestration。運用管理の仕組み。
VNFを管理するための仕組み。
Virtualised Infrastructure Manager。NFVIを管理するための仕組み。
同社の最新の実証実験では、まさに上記のような観点でマルチベンダー体制を構築し、負荷が増した場合にスムーズにリソースが追加される点や、ハードの故障時に予備のハードに自動的に復帰する点などをチェックした。その結果、マルチベンダー体制でも十分動作することを確認でき、冒頭の発言にみられた「商用化に向けて2歩、3歩も前進した」となった。
NTTドコモの音担当部長は「2015年度に何らかの需要に対して☞vEPCを導入していきたい。特定のサービス向けか増設なのかはこれからの議論」と話す。
仮想化されたEPC(Evolved Packet Core)のこと。