NFV(Network Functions Virtualisation)の実証実験を進めてきたNTTドコモは、2015年度のNFV商用化に向けた実証実験を進めている。欧州の標準化団体で進められてきた標準化の取り組みは、2年というスケジュールを終え、活動期間の延長を決めた。
「商用化に向けて2歩、3歩も前進した」(NTTドコモの中村寛執行役員R&D戦略部長)――。2013年11月からベンダーを交えてNFVの実証実験を続けるNTTドコモは、2014年10月14日に開催したNFVの取り組みについての記者説明会でこのように述べた。
この日、NTTドコモが明らかにしたのは、2014年4月から開始したというNFVのマルチベンダー実証実験の結果だ。仏アルカテル・ルーセント、米シスコシステムズ、スウェーデンのエリクソン、中国ファーウェイ、NEC、フィンランドのノキアソリューションズ&ネットワークスの6社。異なるベンダーでNFVの仮想化基盤「☞NFVI」とアプリケーション「☞VNF」を用意し、マルチベンダー体制でLTEのパケットコアであるEPC(Evolved Packet Core)を構築した。
NFV Infrastructure 。仮想化基盤を含む物理リソース。
Virtualised Network Function。NFVI上で動作するソフトウエアの ネットワーク機能。
これまでもNTTドコモはベンダー3社とNFVの実証実験を実施している。しかし従来は3社が独自のvEPC(仮想化されたEPC)を構築するという体制で、マルチベンダー体制の検証はなかった。中村部長は「仮想化基盤とアプリケーションが単一ベンダーに限定されると、NFVのメリットが部分的に止まる。今回の検証から、NFVによる設備効率化を最大化できる道が見えてきた」と語る。同社は2015年度のいずれかのタイミングで、NFVによるvEPCを導入していく考えを明らかにしている。冒頭の発言からは、2015年度のNFV商用化について順調に歩みを進めていることがうかがえる。