「ITpro」2015年2月10日公開のNFV実用化までの道のり「2020年、NFVが通信市場のエコシステムを大変革」の転載記事です(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)。

 ネットワークの機能を仮想化し、汎用サーバーなどのコモディティーハードウエア上で提供するNFV(Network Functions Virtualisation)。コスト削減やネットワークの柔軟性の向上が見込めるとして日米欧の通信事業者から注目を集めている。2020年にはNFVによって通信サービスの形が大きく変貌しているかもしれない。

 「NFVのインパクトは、過去のアナログからデジタルの変化に匹敵する」──。NTTネットワーク基盤技術研究所で、ネットワーク仮想化による効果を検証・研究する高谷直樹ネットワーク技術SEプロジェクト主幹研究員はこのように話す。

 話題になり始めてからわずかな期間で、NFVは通信市場を揺るがす一大トピックになった。

 NFVは、これまで一体的に提供されてきたネットワーク機器のハードウエアとソフトウエアを分離し、汎用サーバーの仮想化基盤上でネットワーク機能を実現するというコンセプト。いわばクラウドで導入されている仮想化技術を通信事業者のネットワークに活用する形だ。汎用サーバーを使うことによるコスト削減や、柔軟なネットワーク構成、迅速なサービス立ち上げなどの期待がある。

 さらにNFVでハード/ソフト分離が進むことで、これまで事実上は大手通信機器ベンダーの寡占となっていた通信機器の市場を、パソコンと同様にオープンな環境に変える可能性もある。そこに新たなプレーヤーが参入する余地が生まれ、イノベーションが促進されるという期待もかかる。この意味でNFVは、通信事業者はもちろん、通信機器ベンダー、エンドユーザーのすべてに影響を及ぼす巨大なエコシステムの変革と言えるわけだ。