「第12回再生可能エネルギー世界展示会」(2017年7月、横浜市で開催)で筆者が特に興味を持った発表について紹介する連載。最終回は、九州地域に光を当てる。筆者は今回の展示会で、九州が日本の再生可能エネルギーの中心地となる可能性は十分にあると感じた。

 九州は自然エネルギーに恵まれた地域である。そのことをアピールするパネルが幾つも、九州地域戦略会議 再生可能エネルギー産業化推進委員会のブースに貼られていた。それらのパネル展示を見て、筆者も再認識した次第である。

地熱、風力、潮流、海流、水素・・・

 火山が多く、温泉も多いこの地では、地熱エネルギーの利用プロジェクトが集積している。現時点で16カ所もの地熱・温泉熱発電所が建設・稼働している。このため、地熱関連の技術を持つ企業も多いようだ。

 海に囲まれていることもあり、海洋エネルギー関連についても積極的に取り組んでいる。風力発電の中でも安定した発電が見込まれている洋上風力発電を導入した際のポテンシャルは、九州が全国でトップである。潮流発電のポテンシャルも、上位10海域中、実に6海域が九州に集中しているのだ。これは火山性の地熱・温泉熱とは全く別の要素であるから、いかに九州地方が自然エネルギーに恵まれているか分かる。

 連載の第1回で述べたIHIの海流発電の実証実験も、鹿児島県十島村の口之島で行われるものだ。このように自然エネルギーによる電力が期待できるということは、電気自動車(EV)が普及しやすい環境にあるといえよう。

 さらに、水素エネルギーに関しても九州地区は研究開発や産業化への取り組みが盛んだ。隣接する山口県も含めて、水素関連の技術開発や事業化を推進している施設がたくさんある。

 ソーダ工場で副次的に発生する水素を一般家庭にパイプラインで供給し、燃料電池による電力供給を行う実証実験をしたこともある。公用車への燃料電池車の導入は、九州のほぼすべての県で実施している。水素ステーションの開設も、関東地区より積極的に思えるほどだ。