これまで裏方に徹してきた大学発自動運転ベンチャーの「ティアフォー」が、ここに来て表舞台へと躍り上がろうとしている。オープンソースの自動運転ソフトウエア「Autoware」を軸に、自動運転産業の「水平分業化」を見据え、デファクトスタンダードの地位を狙った新たな施策を次々と打ち出すしている。

 大学発ベンチャーのティアフォーは、自動運転ソフトウエアの「デファクトスタンダード」の地位を確かなものとするため、矢継ぎ早に新戦略を打ち出している。

5つの戦略でデファクトスタンダードの地位へ

 その新戦略とは大きく分けて次の五つだ。①地図作成ツールのオープン化(無償公開)、②人工知能作成サービスの無償公開、③自動運転関連データの公開、④米NVIDIA社の車載GPU対応、⑤自動運転用システムLSIの研究、そして⑥ワンマイルモビリティへの取り組み――である。いずれも、これまでの自動運転技術開発の常識を変える動きだ。

図3 最近のティアフォーの事業展開
図3 最近のティアフォーの事業展開
地図作成ツールのオープン化(無償公開)、②人工知能作成サービスの無償公開、③自動運転関連データの公開、④米NVIDIA社の車載GPU対応、⑤自動運転用システムLSIの研究、そして⑥ワンマイルモビリティへの取り組み
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 最初の地図作成ツールのオープン化だが、従来、高性能LiDARとカメラ、GPSを積んだ地図データ収集車で集めた「点群データ」から、白線や信号などの物体をベクトルで表した「ベクトルデータ」に変換するのは専門メーカーの役割だった。しかし、これには数百万円かかり、自動運転の研究を始めたばかりの大学などの研究機関には荷が重い。

図4 地図作成ツール「Maptools」
図4 地図作成ツール「Maptools」
点群データからベクトルデータを手描きで作成しているところ
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 今回の地図作成ツールのオープン化では、地図データ収集車から集めた点群データをティアフォーの専用サイトにアップロードすると、その点群データをつないでベクトルデータにするツールが利用できる。点群データをつなぐ作業そのものは手書きになるが、最初、大学の構内など狭い閉鎖空間の地図づくりから始める場合には十分な機能を備えているという。