米国で家族のため収入を安定させ、また、専門家としてキャリアーを築いていく上で、避けて通れない点が、失業問題である。失業してしまう理由としては、所属企業が競争に負けて淘汰されてしまうことが挙げられるが、景気循環の波にのまれることも大きなファクターである。

米国における失業率の推移
米国における失業率の推移
米Department of labor、Bureau of Labor Statisticsよりの許可を得て引用

 上図は、米国における失業率の推移である。ほぼ、10年ごとに失業率が10%近くという高い数字になっている点が目を引く。米国で失業率が高くなる原因は、リセッション(景気後退)を引き金とした、企業の業績不振によるリストラや、企業倒産である。これは、資本主義国家の社会現象といってよいだろう。筆者が失業による厳しい現実を目の当たりにするのは、1980年代に米国製造業が日本製造業に完敗した時、およびサブプライムローン問題を引き金におきた2008年のリーマンショック後である。特に後者の影響は大きかった。

 失業、リセッションと暗い言葉を並べているが、回復過程についても述べたい。何度も陥るリセッションの後、米国経済はなんだかんだ言っても立ち上がってくる。「もうこれで米国経済もおしまいだ」と言われたことが何度もあったが、転んでも再び起き上がってくる。米国の底力を体感してきた。