筆者(写真)が副議長を務めているGlobal Smart Grid Federation(GSGF)は2017年8月8日、マイクログリッドに関する白書を発表した。本連載ではこの最新の白書におけるポイントを2回に分けて紹介する。後編となる今回は、マイクログリッドが普及するための問題点と解決策を紹介する。

 マイクログリッドは、分散型エネルギーシステムを大量に導入する際に重要となる技術である。前編では、マイクログリッド内の需要家とマイクログリッド外の系統事業者にさまざまな価値を提供することを説明した。このうちマイクログリッド内の需要家は大量の再生可能エネルギーを制御してCO2を削減することで、電源の信頼性と柔軟性を高め、電気代を削減するという価値を提供できる。一方のマイクログリッド外の系統事業者は、さまざまなグリッドサービスを提供できるようになる。 場合によっては、電力会社の投資の繰り延べ効果としての価値が生まれる可能性がある。しかし、まだまだ様々な障壁があり、さらなる普及促進のためにはそれらを取り除く必要がある。

 現時点でも限られた条件下なら、マイクログリッドの導入により、ビジネスとして有利なケースは既に存在している。例えば単一需要家向けのマイクログリッドや低品質電源を使用している地域など、グリッドパリティを既に達成している地域である。これらを踏まえて今回は、マイクログリッドの商業化を促進する方法をいくつか提案する。