世界有数の技術力を持つ日本企業と、世界有数の大規模製造ラインを持つ中国企業。この両者がタッグを組む利点は大きい。しかし、日本企業と中国企業が提携し、一緒に開発を進めるのは容易ではない。日本の企業同士でも提携を成功に導くことは難しいのに、国が違えばなおさらだ。

 中国メーカーとの提携によって活路を開こうとしている日本のディスプレーメーカーがある。NECの液晶部門をルーツに持つTianma Japanだ(NLTテクノロジーから2017年7月1日に社名変更)。2011年2月に中国の天馬微電子(Tianma Micro-electronics社)と資本提携し、同社の傘下で液晶事業を展開。現在は天馬グループの完全子会社として活動してる。ディスプレー事業で、中国の資本を得て、事業連携を軌道に乗せた日本メーカーは少ない。

 NEC出身で、現在はTianma Japanで代表取締役 執行役員社長を務める于徳樹氏は、日本メーカーと中国メーカーの事業連携の成否を分けるポイントについて次のように解説する。

契約は簡単、その先が難しい

Tianma Japan 代表取締役 執行役員社長の于徳樹氏
Tianma Japan 代表取締役 執行役員社長の于徳樹氏
(写真:同社)

 「資本提携の契約までは簡単。しかし、その先、両社が一緒になって事業を進めるのは難しい」。于氏は自らの経験を踏まえて、こう語る。

 于氏はNECに在籍していた2003年に、中国の家電・電子部品大手の上海広電(集団)との資本提携の契約交渉を担当した。両社は提携の合意に至り、同年11月、中国上海市にTFTカラー液晶事業の合弁会社「上海広電NEC液晶顕示器」を設立する。資本金は500億円で、出資比率は上海広電が75%、NECが25%だった。