プロ野球・広島東洋カープを応援する「カープ女子」や、Jリーグ・セレッソ大阪のサポーター「セレ女」という呼称が生まれるなど、女性の間でスポーツ観戦が人気になっている。だが、これまでスポーツでは男性が観客の主要ターゲットであっただけに、女性のニーズを満たすものは足りていない。

 では、どうするか。これから女性客を増やすためにはどのようなことに注力すべきなのか。そうしたことを考えるトークイベント「GIRLS TALK #crazy about sports」が、2016年12月に東京都内で開かれた。主催は、スポーツビジネスに関わる20〜30代の有志メンバーによって構成された「スポーツ観戦女子プロジェクト」。同プロジェクトは、より多くの女性がスタジアムやアリーナに足を運び、スポーツ観戦を楽しめる仕掛けづくりを目指して活動している。

 イベントに登壇したのは男子バスケットボールリーグ「B.LEAGUE」(Bリーグ)の広報部長 経沢希志子氏、プロ野球のパシフィック・リーグ クライマックスシリーズで「野球観戦メーク」が体験できる女性向けイベントの企画を担当した資生堂ジャパンの谷川有香氏、Jリーグを愛する女子サポーターの団体「Jユニ女子会」の共同代表である木下紗安佳氏の3人。それぞれが女性ならではの視点で、女性×スポーツの今と未来について語り合った。

イベントにはスポーツビジネスに関わる人やスポーツファンなど、20〜30代の男女45人が参加した
イベントにはスポーツビジネスに関わる人やスポーツファンなど、20〜30代の男女45人が参加した
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女性にウケているBリーグの成功事例

 2016年9月にスタートしたBリーグは現在、若い女性から高い人気を集めている。「スポーツ観戦を楽しむ女性を増やす方法」を考える上で格好の成功事例だ。Bリーグが女性にウケている要因は、もともと若い女性たちの間でバスケに対するイメージが良かったことに加え、女性を意識した集客施策によるところも大きい。

Bリーグ広報部長の経沢希志子氏。高級婦人服FOXEY、楽天などで広報やマーケティングを担当し、2015年よりBリーグに入社。Bリーグでは、斬新な企画から王道な企画まで、さまざまなプロモーションを仕掛けて話題を集めている。
Bリーグ広報部長の経沢希志子氏。高級婦人服FOXEY、楽天などで広報やマーケティングを担当し、2015年よりBリーグに入社。Bリーグでは、斬新な企画から王道な企画まで、さまざまなプロモーションを仕掛けて話題を集めている。
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 「Bリーグの各クラブは、レディースデーの割引やスイーツビュッフェ付きチケットの販売など、女性に来てもらうための取り組みに積極的です。ハーフタイムにボディビルダーショーを開いたり、占いブースを設置したり、試合会場に噴霧器で石鹸の香りを拡散したりと、会場に来た女性に楽しんでもらえる仕掛けも工夫しています」と、Bリーグの経沢氏は話す。

 情報発信の際にも女性の目を意識しているという。「バスケは日本ではまだマイナースポーツ。メディアに取り上げてもらうことも少ないので、自分たちから積極的に情報を発信していく」(経沢氏)という考えから、BリーグはSNSに力を入れている。特に若い女性の利用率が高いインスタグラムでは、女性客のファッションや会場の雰囲気などを積極的に発信し、「会場にいる自分を想像させる」「Bリーグを身近に感じてもらう」ことを狙っているという。

 その他にも、10〜20代の女性に人気のアーティストやタレントとのコラボレーションや、スマホアプリを使った告知プロモーションなども実施。若い女性の感性に直接的に訴えかけることで、「実際にBリーグを体感してみたい」という思いを抱かせているのである。