「2017年シーズンから10年間で総額2100億円」。サッカーJリーグと巨額の放映権契約を締結した英Perform Group(パフォームグループ)が展開するのが、スポーツ専門のストリーミングサービス「DAZN(ダ・ゾーン)」だ。
「将来的にスポーツのライブ配信はテレビからOTT(over the top)と呼ばれるネット配信へ移行する」。強気の姿勢を見せるDAZNが描く未来は・・・。2017年11月10日、CDN(Content Delivery Network)サービス最大手の米Akamai Technologies社の日本法人が主催したイベントに登壇した、Perform Group CTOのFlorian Diederichsen(フロリアン・ディデリクセン)氏の講演の後半の模様をお伝えする。
Perform Groupは、日本市場で長期間に渡ってしっかりとサービスを提供していきます。市場の需要を理解してベストなサービスを提供し、対価を頂きたいと考えています。そのために日本で2つのオフィスを持ち、コンテンツのローカライズや顧客サービスの日本語での提供をしています。そのために数百人を雇用しています。
Jリーグと10年間という長期契約を結んでいますが、それはなぜか。Jリーグの価値が過小評価されていると考えているからです。通常の放映権契約は2~3年ですが、短期間で価値を高めるのは難しいので、10年契約にしたのです。
実際、我々はJリーグの価値を高めるために数々の投資をしています。高密度Wi-FiをすべてのJ1スタジアムに敷設、試合中にさまざまなコンテンツをお客様が楽しめるようにしました。また、スタジアムに光ファイバーを敷設し、J3の試合は4台のカメラでプレーを撮影しています。J1の試合はカメラを3台追加し、12台体制で映像を制作しています。
3試合をリアルタイムで同時視聴
新サービスに対する投資もしています。その1つが「Jリーグ・ゾーン」です。NFLが提供している「レッドゾーン」のサッカー版で、見たい複数の試合をリアルタイムで同時に見られます。具体的には、1つの画面内で3試合がリアルタイムに中継され、コメント付きの試合はメーンの画面で、そのほかの2試合は小さい画面で並行して見られます。見る試合の変更も可能です。
DAZNの番組では積極的に「スター」を紹介しています。リーグの発展にはスタープレーヤーが必要です。これによってクラブの価値が高まり、ストーリーも生まれる。Jリーグから国際的に活躍するプレーヤーを生み出して欧州に移籍したり、逆に欧州からJリーグに移籍することを活性化したいと思います。
例えば、DAZNはドイツでJリーグの試合を中継していますが、2017年7月に元ドイツ代表のルーカス・ポドルスキー選手がヴィッセル神戸に加入して以来、ドイツで視聴者数が増えています(1節当たりの平均アクティブユーザー数が約8倍に増加)。