2017年3月1日にスポーツ庁長官の諮問機関であるスポーツ審議会から鈴木大地長官に答申された「第2期スポーツ基本計画」。ここでは、スポーツ参画人口を拡大することによって「一億総スポーツ社会」を実現するという目標が掲げられた。2017年3月8~10日に開催された「ヘルスケア&スポーツ 街づくりEXPO2017」(主催:日本経済新聞社、日経BP社)の講演に、スポーツ庁長官の鈴木大地氏が登壇。一億総スポーツ社会が実現することでどのような効果があるのか、実現のために取り組むべきことは何かについて語った。講演の要旨を、前後編の談話形式でお届けする。

スポーツの価値を伝え、理解してもらう

「ヘルスケア&スポーツ街づくりEXPO2017」でオープニングスピーチを行ったスポーツ庁長官の鈴木大地氏
「ヘルスケア&スポーツ街づくりEXPO2017」でオープニングスピーチを行ったスポーツ庁長官の鈴木大地氏
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 2017年4月1日より新しいスポーツ基本計画がスタートします。この計画では、より多くの人にスポーツの価値を伝え、理解してもらうために、わかりやすい言葉で4つの基本方針を作りました。それが、スポーツの力によって「人生が変わる」「社会を変える」「世界とつながる」「未来を創る」です。

 この基本方針に則って、具体的には「(1)『する』『みる』『ささえる』スポーツ参画人口の拡大」「(2)スポーツを通じた活力があり絆の強い社会の実現」「(3)国際競技力の向上」「(4)クリーンでフェアなスポーツの推進」に、総合的かつ計画的に取り組んでいきます。

 (1)では、ライフステージに応じたスポーツ活動の推進とその環境整備を行い、例えば、成人の週1回のスポーツ実施率を現在の約42%から65%にまでアップすることなどを目指していきます。また、スポーツは社会課題の解決のために有効です。スポーツによって人々の健康増進や女性の活躍推進に寄与し、さらに経済や地域の活性化、国際貢献に積極的に取り組むというのが(2)です。

 さらに(3)では、日本の国際競技力を向上させ、オリンピックとパラリンピックにおいて過去最高の金メダル数を獲得できるよう、支援していきます。そして、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、スポーツのインテグリティ(誠実性・健全性・高潔性)を高めるために、スポーツ団体などのコンプライアンスの徹底、ガバナンス強化などを推進していくのが(4)です。

 こうした取り組みを実現するために、今回の基本計画では具体的な数値目標をたくさん設定しました。第1期計画では数値目標を明確化したのは8つだけでしたが、第2期では20にまで増やしています。

第2期スポーツ基本計画について(答申)のポイント。スポーツの価値を具現化して発信し、スポーツの枠を超えて異分野と積極的に連携・協働を図っていくことを目指している(図:スポーツ庁)
第2期スポーツ基本計画について(答申)のポイント。スポーツの価値を具現化して発信し、スポーツの枠を超えて異分野と積極的に連携・協働を図っていくことを目指している(図:スポーツ庁)
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スポーツ参画人口の拡大に向けて

 本日は「ヘルスケア&スポーツ 街づくりEXPO2017」ということで、「健康」と「街づくり」に関わる部分をもう少し掘り下げてご紹介します。