2019年のラグビーW杯、2020年の東京オリンピック・パラリンピック、2021年の関西ワールドマスターズゲームズなど、日本では今後数年間で相次いで世界的なスポーツ大会が開催される。これらのビッグイベントをビジネスチャンスにつなげ、「スポーツ立国」を実現するためには、スポーツ以外の分野からの複合的アプローチが重要になる。そのキッカケづくりとなり得るイベント「ヘルスケア&スポーツ 街づくりEXPO2017(以下、ヘルスケア&スポーツ)」(主催:日本経済新聞社、日経BP社)が、東京ビッグサイトで2017年3月8日に開幕した。

初日には5つのセミナーと9のワークショップが開催。スポーツ庁長官の鈴木大地氏の講演をはじめ、多くの来場者で賑わった
初日には5つのセミナーと9のワークショップが開催。スポーツ庁長官の鈴木大地氏の講演をはじめ、多くの来場者で賑わった
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 このイベントは「スポーツ×街づくり」「ヘルスケア×街づくり」に関する様々な取り組みを紹介するもの。会期中3日間でスポーツビジネスのキーパーソンなどによる37のワークショップとセミナーが開催。横浜DeNAベイスターズの代表取締役社長 岡村信悟氏やドームの取締役 CPOの 三沢英生氏など、民間でスポーツビジネスを推進する立場の人々や、公の立場からスポーツ立国実現を目指す内閣官房 東京オリンピック競技大会・東京パラリンピック競技大会推進本部事務局 参事官の羽生雄一郎氏、そして米国のスポーツ事情に精通したジャーナリストの渡辺史敏氏などが登壇する。

 また、スポーツ×街づくり、ヘルスケア×街づくりの融合に取り組む36の企業・団体の展示も行われている。

「スポーツ×他産業」でスポーツ産業の拡大目指す

オープニングスピーチを行ったスポーツ庁長官の鈴木大地氏。3月1日に答申された「第2期スポーツ基本計画」の話題を中心に、これからの日本のスポーツ界についてプレゼンテーションした
オープニングスピーチを行ったスポーツ庁長官の鈴木大地氏。3月1日に答申された「第2期スポーツ基本計画」の話題を中心に、これからの日本のスポーツ界についてプレゼンテーションした
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 イベント初日のオープニングスピーチには、スポーツ庁 長官の鈴木大地氏が登壇。折しも3月1日に長官の諮問機関であるスポーツ審議会から鈴木氏に対して「第2期スポーツ基本計画」が答申されたばかり。まず鈴木氏は、この計画について紹介した。

「第2期スポーツ基本計画では、スポーツの力によって“人生が変わる”、“社会を変える”、“世界とつながる”、“未来を創る”という4つの標語を基本方針としています。こうした分かりやすい言葉でスポーツの価値を多くの方に理解していただき、価値を高めていくことを目標としています」

「スポーツの価値を高めるためには、具体的な数値目標を定めなくては、人は動きません。そのため今回の基本計画では、数値目標を第1期の8から20にまで増やしました」

 具体的には、国内スポーツ市場を2020年までに10兆円、2025年までに15兆円に拡大することの明確化、障害者のスポーツ実施率を現状の2倍となる約40%に伸ばすといったことなどだ。

 講演ではスタジアム&アリーナを活かした街づくりや、スポーツコンテンツと連携した地域活性化の事例を紹介。「スポーツは単なるイベントではなく、経済的にも効果が高い」と鈴木氏は話した上で、次のような言葉で講演を締めくくった。

「これからはスポーツと他産業を融合し、スポーツに参画してもらえる人をもっと増やしていくことが重要になってきます。例えばIT(情報技術)。例えばアート。そういった、いろいろな産業界の皆さまと協力をしていきながら、スポーツ産業を大きくしていきたいと思っています」