多様な人材を採り入れるBリーグの組織づくり

 では、掲げた使命を果たすために、Bリーグはどのような組織になっているかを紹介します。

講演する大河チェアマン(写真:加藤 康)
講演する大河チェアマン(写真:加藤 康)
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 Bリーグには、競技運営部、強化育成部、マーケティング部、法人営業部、経営企画部、広報部、総務部という7つの部署がありますが、各部署の部長には様々なバックグラウンドの人材が就いています。

 競技運営部と強化育成部はバスケットボール出身者が部長を務めており、マーケティング部と法人営業部は、かつてプロ野球の球団で働いていた人がマネジメントしています。経営企画部の部長はコンサルタントファーム出身者です。広報部と総務部は、スポーツ業界以外の一般企業出身者が部長を務めています。

 先日、横浜DeNAベイスターズの球団社長を務めていた池田純氏がJリーグの特任理事になりました。これは、他のスポーツや、他の業界で得た知見をJリーグに吸収するためのものでしたが、Bリーグの場合、組織としてそれをやろうとしています。

 例えば、広報部長はもともとバスケットボールに全く関わりがなく、Bリーグに入る前に知っている選手は田臥勇太選手ぐらいだったそうです。でも、バスケットボールを知らない人に競技の魅力を知ってもらうためには、そうした人が広報を担当した方がいいと考えて採用しました。組織を作る上で、あえて、バスケットボール出身者にはこだわらないようにしていったのです。

B2Cやマーケティングへの理解とチケット販売

 では、我々が求めているのはどのような人材か。例えば、B2Cビジネスが分かる人材、マーケティングが分かる人材、チケットを販売できる人材です。

 B2Cとマーケティングという点については、Bリーグが目指す方向性の理解も大切になります。今、我々はリーグやクラブ運営のデジタル化を推進しています。その代表的な取り組みは、Bリーグのファンに関するデータを集めて、リーグのマーケティングに活用し、それをクラブにもフィードバックするプラットフォームを構築すること。ソーシャルメディアの活用もその1つです。様々なITプラットフォームをファンの獲得やマネタイズにつなげていく。そうした取り組みに理解がある人材もプロスポーツ運営の現場では必要になっています。

 特にチケット販売は、リーグに関連するすべての事業のエンジンになっていると考えています。リーグやクラブにはスポンサー収入や放映権収入も大きな要素ですが、やはり、最も大事なのはチケットです。米プロバスケットボールリーグ「NBA」ではチケット収入とスポンサー収入の割合が2対1といわれていますが、BリーグやJリーグでは1対2になっているんです。どうにかして、この割合を逆転させたい。そのためには、デジタル化の推進や、チケッティングシステムの整備を進め、ファンを呼び込んでいくことが必要だと考えています。

大河正明(おおかわ・まさあき)。1958年生京都府出身。中学でバスケットボールを始め、全中4位。京都大学卒。 1981年三菱銀行入行。1995年日本プロサッカーリーグ出向、総務部長。2010年三菱東京UFJ銀行退行。同年日本サッカーリーグ理事に就任。 2014年に日本プロサッカーリーク常務理事、2015年日本バスケットボール協会専務理事、事務総長、 同年ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ理事長(写真:加藤 康)
大河正明(おおかわ・まさあき)。1958年生京都府出身。中学でバスケットボールを始め、全中4位。京都大学卒。 1981年三菱銀行入行。1995年日本プロサッカーリーグ出向、総務部長。2010年三菱東京UFJ銀行退行。同年日本サッカーリーグ理事に就任。 2014年に日本プロサッカーリーク常務理事、2015年日本バスケットボール協会専務理事、事務総長、 同年ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ理事長(写真:加藤 康)
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