既存のMTのシフトとクラッチの操作をロボット化し、2ペダルの自動変速機(AMT)とするケースは、1970年代から幾度も試みられてきた(図6)。ATよりも伝達効率が良く、シンプルで故障も少ないというのはメリットだが、あらゆる走行条件で変速操作をスムーズに行なうのは難しい。
ゴー・ストップの多い日本の交通事情では受け入れられないが、欧州では小型車を中心に依然としてAMTの採用例は多い。シンプルな構造で生産コストも低く、伝達効率に優れることから燃費(=CO2排出量)の削減でもメリットは大きいからだ。
大型トラックやバスなどの商用車では、伝達トルクの大きさからDCTを採用することは難しく、乗用車ほどシフトの応答性や市街地での快適性を求められることもないため、AMTを採用するケースが多い。自動変速に加えて、副変速機構を備えることで、手動では難しい12段変速などの超多段化を実現している。
イタリアFerrari社は1994年から市販車にパドルシフト型のAMTを搭載してきたが、最近はより制御が容易でシフトもスムーズなDCTを採用している。ドイツBMW社も「SMG」と呼ぶAMTを1997年から導入していたが、現在はDCTにその役割を譲っている。