日経Automotiveのメカニズム基礎解説「第4回:DCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション) 2系統クラッチで迅速に変速、低燃費と走りの楽しさ両立」の転載記事となります。

エンジンの駆動力を負荷に応じて適切にタイヤに伝えるのが変速機だ。MT(手動変速機)から、AT(自動変速機)やCVT(無段変速機)などに進化してきた。最近増えているのが伝達効率の高いMTをベースに制御を自動化するDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)だ。

 変速機は、運転者がクラッチペダルとシフトレバーで操作して変速させるMTと、アクセル操作だけで自動的に変速してくれるATに大別できる。いまや圧倒的にATが主流だが、そんなATの中にも遊星歯車を使い、トルクの伝達経路を変えて変速する遊星歯車式AT、プーリーと金属ベルトで減速比を無段階に調整できるCVT、二つのクラッチを内蔵して奇数段と偶数段を交互に切り替えることで変速するDCTがある(表、図1)。

表 変速機の比較
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図1 変速機の種類
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