日経Automotiveのメカニズム基礎解説「第2回:ターボチャージャー 排ガスの圧力を吸収し、エンジンに空気を押し込む」の転載記事となります。

エンジンは、空気と燃料を取り込んで圧縮し、燃焼させることで駆動力を発生させる。エンジン燃焼時の排ガス圧力をエネルギーとして回収し、エンジンに空気を押し込む装置がターボチャージャー。最近ではエンジンの出力向上や高効率化に欠かせない存在になっている。

 ターボチャージャーは、エンジンの出力を補助し、加速性能を高める装置として認識されてきた。最近では自動車メーカーへの排ガス規制や燃費規制の強化を背景に、排ガスをよりクリーンにしたり、燃費を改善するなど環境対応装置としても注目を集めている。

 ターボチャージャーは排ガスの圧力をタービンによって回収し、タービンと直結したコンプレッサーがエアクリーナーから吸い込んだ空気を圧縮してエンジンに送り込む(図1)。

図1 ターボチャージャーの構成
(a)排ガスからエネルギーを回収するタービン、空気を圧送するコンプレッサー、両者を連結させるセンターハウジングで構成する。センターハウジングは1分間に20万回転するタービンシャフトの軸受けとして機能し、エンジンオイルで潤滑・冷却される。(b)実機の構成。
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 ピストンの下降による負圧で空気を吸い込む自然吸気エンジンの場合、吸気系の弁が抵抗となってポンピングロスが発生してしまう。ターボチャージャーを追加するとエンジンが吸い込む負圧から、空気を押し込む正圧となり、吸気系の弁があってもシリンダーの充填効率は大幅に高まる。シリンダーの容積以上に空気を押し込むことができるため、実質的に排気量を拡大するのと同じ効果をもたらす。エンジン排気量を減らしつつ、性能を高められる。