日産の「フーガ」や「エクストレイル」は、1モーター2クラッチ式を採用している。変速機の後端にもクラッチを備えるユニークな構造だ(図5)。エンジンとモーターの間にあるクラッチでHEV走行と、電気自動車(EV)走行を切り替え、変速機の後端にあるクラッチで停車中のエンジンによる発電を可能にした。エンジンに隣接するクラッチ1は、潤滑や冷却が必要な多板式ではなく、乾式の単板クラッチを用いている。
多板クラッチに比べて単板クラッチを滑らかに断続させるのは非常に高度な制御が要求される。日産はモーターのトルクもms単位でコントロールすることで、EVモードからHEVモードへの移行を滑らかなまま加速していけるようにした。後端のクラッチ2は湿式多板クラッチである。
日産のエクストレイルに採用しているHEV変速機も横置きATをベースとしたもので、仕組みはほぼ同様だ。