日経BP社は2017年6月13日、書籍「GE 巨人の復活 シリコンバレー式『デジタル製造業』への挑戦」を上梓した。著者は中田 敦 日経BPシリコンバレー支局長。同書で中田支局長は、世界最大の重電メーカーである米ゼネラル・エレクトリック(GE)が成し遂げたデジタル化、シリコンバレー化改革の正体を解説している。本の出版を記念して、GEのデジタル改革を象徴する三つのレポートを、シリコンバレーからお届けする。(編集部)

 「インダストリアルインターネット」を実現するために、ソフトウエアの内製化に大きく舵を切った米ゼネラル・エレクトリック(GE)。ソフト開発の旗振り役となるのが「PM」と呼ばれる仕事。もっともGEにおけるPMはプロジェクトマネジャーではない。「プロダクトマネジャー」だ。

 GEが進めようとしていたのは、インダストリアルインターネットという新コンセプトを実現するためのソフトウエアの開発だ。どのような機能が必要なのかを、ソフトウエア開発部隊が自ら決める必要があった。しかし、それができる人材が社内に存在しなかったGEは、シリコンバレーからベテランのプロダクトマネジャーを採用し始めた。

プロダクトマネジャーがCDOに就任

 GEが採用したプロダクトマネジャーの一人が、2014年2月にGEに転じたガネッシュ・ベル氏だ。

写真●GEパワーのCDO(最高デジタル責任者)を務めるガネッシュ・ベル氏
写真●GEパワーのCDO(最高デジタル責任者)を務めるガネッシュ・ベル氏
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 現在のベル氏は、発電所用のガスタービンなどを製造する「GEパワー」のCDO(最高デジタル責任者)を務める。ベル氏はGEで初めてCDOに就任した人物でもある。ベル氏のキャリアは非常に興味深いので、詳しく紹介しよう。