GEは世界最大の重電メーカーである米ゼネラル・エレクトリック(GE)は、1878年に発明王トーマス・エジソンが創業した「エジソン・エレクトリック・ライト・カンパニー」を起源とし、1892年に設立された伝統ある電機メーカーだ。

GEのデジタル事業の総本山「GE Degital」はシリコンバレーにある。
GEのデジタル事業の総本山「GE Degital」はシリコンバレーにある。

 GEと聞くと、1990年代に「20世紀最高のCEO(最高経営責任者)」とまで称えられた名経営者のジャック・ウェルチ氏を思い出す人も多いだろう。しかし現在のGEは「脱・製造業」路線で、株式時価総額を43倍に引き上げたウェルチ時代を完全否定し、真逆の会社になっている。

 そのきっかけになったのはリーマンショックである。ウェルチ時代に拡張され、会社の屋台骨となっていた金融事業を金融危機が直撃。巨額の不良債権という爪痕を残した。GEは2015年1~3月期決算で金融事業に関連する特別損失を計上しているが、その額はなんと160億ドル(1兆9000億円)であった。

ウェルチ路線を完全否定し、製造業への回帰とデジタル化を推進したジェフ・イメルト前会長兼CEO
ウェルチ路線を完全否定し、製造業への回帰とデジタル化を推進したジェフ・イメルト前会長兼CEO

 この危機から立ち直るために、ジェフ・イメルト会長兼CEOが採った策、それが本来の中核事業である産業機器を中心とする製造業に回帰する戦略である。ただし古い体質に戻したのではない。イメルト氏はシリコンバレー流のソフトウエア開発手法などを大胆に取り入れ、「製造業のデジタル化」に突き進んだ。

 現在のGEは売上高1236億ドルの内の91%を産業機器の売り上げが占めるまでになっている(2016年)。それだけでない。「インダストリアルインターネット」(一般には『インダストリアルIoT(Internet of Things)』と呼ばれる取り組み)を掲げ、産業機器の管理に必要なソフトウエア・プラットフォームを内製し、さらにはそのプラットフォームを外部の企業に販売するまでになった。今のGEは、製造業のデジタル化自体を業界に推進する旗手なのである。

 GEはどのように会社を変えたのか? その復活のレシピをシリコンバレーでGEを追い続けた記者がリポートする。