ノバルティス ファーマの広報誌最新号でも「デジタル×メディカル」の取り組みを紹介
ノバルティス ファーマの広報誌最新号でも「デジタル×メディカル」の取り組みを紹介
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 加速する「製薬業界×デジタルヘルス」の動きが、いよいよ業界最大手、スイスNovartis社を突き動かそうとしている。この分野で同社が手を組むのは、まさにトップ製薬企業に似つかわしいパートナー。IT業界を代表する、米Microsoft社や米Google社だ。製薬業界とIT業界の巨人のコラボレーションから、果たしてどのような技術革新が生まれるのか――。

 2016年10月12~14日にパシフィコ横浜で開催された展示会「BioJapan 2016」では、Novartis社日本法人のノバルティス ファーマが「テクノロジーが変えるヘルスケア」と題するランチョンセミナーを開催。Novartis社が2015年に立ち上げたデジタルメディスン(Digital Medicine)部門を指揮するMatt Owens氏(Head-Digital Medicines Execution)が登壇し、デジタルヘルスへの取り組みを語った。

 世界的に高齢化が進み、慢性疾患が増加、一方で医療費削減への圧力は強まる中で、Novartis社は「薬を創るだけではない、新しい事業モデルが必要」(Owens氏)な状況にある。そのモデルチェンジの「鍵を握るのがデジタルヘルス」(同氏)だ。

 同社はデジタルヘルスを、大きく3つの領域に活用する考え。第1に、臨床試験(治験)の効率化。現行の治験は「コストが高く非効率。紙ベースの治験を脱し、デジタルソリューションを導入することで効率は高まる」(同氏)。

 第2に、患者の状態(Patient Experience)の改善。ここにはスマートフォンなどのモバイルソリューションを活用できると見る。そして第3に、発売後の薬の実患者での効果検証(Proven Outcomes)。いわゆるリアルワールドデータ(Real World Data)解析の領域である。

 ここに向けて、同社は長期的な視点でデジタルヘルスに取り組む。デジタルヘルスは一過性のブームではなく、製薬業界のパラダイムシフトへの「旅(Journey)」(Owens氏)だからだ。