“製薬業界×デジタルヘルス”の動きが加速する中、いよいよ「デジタルヘルス」の名を冠した製薬企業発の新会社が船出した。大塚製薬と日本IBMが2016年6月に立ち上げた大塚デジタルヘルスだ。医薬品の製造・販売とは異なる「新しいアプローチで医療に貢献する」(代表取締役社長の清水泰喜氏)ことを狙う(関連記事1)。報道機関向け説明会で明らかにしたその戦略とは――。

大塚デジタルヘルスの清水氏
大塚デジタルヘルスの清水氏
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 新会社が手掛けるのは、精神科医療に対するデジタルヘルスソリューション事業。抗精神病薬エビリファイを手掛けるなど精神科領域に強みを持つ大塚製薬の知見と、コグニティブコンピューティング技術などに関する日本IBMの知見を融合し、新たなソリューションを開発する。

 第1弾として、大塚製薬と日本IBM、桶狭間病院 藤田こころケアセンター理事長の藤田潔氏の3者で共同開発したクラウド型の電子カルテ解析ソリューション「MENTAT」を2016年7月、医療機関向けに発売した(関連記事2同3)。電子カルテからの情報抽出と提示に、コグニティブコンピューティングシステム「IBM Watson」を活用するソリューションだ。