以前、私は市立病院で働いていました。その際、診療報酬に医師事務作業補助者の加算がついたことは素晴らしい点だと感じました。俗に医療クラークと呼ばれる方々が、この加算が励みとなって自分で勉強して、生き生きと病院で活躍していたからです。ある意味、新しい専門性が生まれたようなものです。専門職ではありませんが、病院にはなくてはならない存在となっているのですから。

千葉市の久保田氏(写真:加藤 康、以下同)
千葉市の久保田氏(写真:加藤 康、以下同)
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 「医療コンシェルジュ」の提案がありましたが、このようにコンシェルジュ的な人たちは中央ではなく、それぞれの場所にいたほうがピンと来ます(関連記事)。そしてそれぞれの場所で、何らかの金銭的なインセンティブがあると良い。一義的にはソーシャルワーカーなどかもしれませんが、そうした人たちでなくても提供できる機能があるはずです。表面的にはコストがかかるように見えますが、トータルで社会保障費が抑制されることを実証できれば、これらの試みに取り組む価値もあると思います。

行政よりは臨機応変にやっている

 実は千葉市では、地域包括支援センターはほとんどが民間事業者であり、すでに民間に開放されている状況です。地域包括ケアシステムに不可欠な生活支援コーディネーターを公募で選び、民間事業者にも委託しています。事業者たちは、地域づくりの部分で非常に活発に活動しています。当然自治体が決まりごとを設けてはいますが、少なくとも行政がやるよりは臨機応変にやっていると個人的には感じています。

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 もちろん、必ずしもすべてが上手く回るわけではないのですが、良い面も数多くあります。そこで感じたのは、行政が“名前とお金をきちんとつける”のが重要だということ。それによって、現場のニーズに即した機能が生まれる利点もあります。

 そこをどう評価するかは今後の課題です。従来の評価基準ではなかなか難しく、言われた通りのことをクリアすれば評価につながるわけではありません。制度を変えていく必要があるのかもしれません。

 私の仕事は在宅医療・介護連携ですが、今後はITの導入などを通じて、地域在宅医療の関係者が本当にやりたいことを支援していきたいと考えています(談)。