社会インフラの建設・管理の領域で、AI(人工知能)が活躍し始めている。社会生活と経済活動を縁の下で支える土木・建築と、クルマの自動運転から医療、囲碁に至るまで何かと話題に事欠かないAI――。はたから見ればミスマッチなカップルのようにも見えるが、その実、両者は相思相愛だ。

 2016年以降、大手ゼネコンやインフラ企業がAIの活用をうたい始めた。東京湾アクアラインや東京スカイツリーといったビッグプロジェクトを手掛けてきた大林組は、17年3月24日に発表した21年度までの中期経営計画で、「AIを駆使した生産性の向上」を建設分野の事業戦略に位置づけた。

 高速道路を管理する阪神高速道路会社は16年4月、グループの将来像を描いた「阪神高速グループビジョン2030」で、AIによる交通制御の高度化を掲げた。道路の維持管理の効率化にも取り組む予定だ。JR東日本も16年11月に作成した「技術革新中長期ビジョン」で、安全確保やメンテナンスにAIを活用する方針を示している。

 技術に対する感度の高い建設会社やインフラ企業は、IT企業とタッグを組んで開発してきたAIを建設現場に導入し始めている。道路や河川堤防、港湾といった様々なインフラを所管する国土交通省は、工事や維持管理の生産性向上にAIが役立つとみて、IT企業などの参入を歓迎する。

図●社会インフラの調査、計画・設計、施工、点検・維持管理など工程別に見た「インフラ×AI」業界地図
図●社会インフラの調査、計画・設計、施工、点検・維持管理など工程別に見た「インフラ×AI」業界地図

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