改正固定価格買取制度(改正FIT)が施行され、再生可能エネルギーは本格的な普及期に入る。再エネ事業について、どのような変化が生じるのか。その変化に対応するためには、どのような取り組みが必要なのか、本連載ではこうした視点から解説する。第1回目は、再エネ・ビジネスを推進する者にとって、極めて重要な制度変更の概要についておさらいしよう。

なぜ、制度が見直されたのか

 FIT制度の見直しの趣旨は、国民負担を増やさずに、再エネを増やすことにある。一般的な家庭で再エネ賦課金は、月額686円となり、その負担額も無視できないものになってきている一方で、パリ協定の批准により日本はCO2を26%削減することを国際的に公約している。

 そのために2030年までに現在の2倍の水準まで再エネを増やすことが必要である(電源構成に占める割合22〜24%がターゲット)。要するに、「日本政府は安い再エネが欲しい」のであり、再エネ普及にブレーキを踏むのではなく、アクセルを吹かしたいのだけど、今まで以上にコストを気にしなければならない、というのがポイントである(図1)。

図1●2030年の電力の需給構造。「長期エネルギー需給見通し」に示されるように、政府は、省エネにより電力需給の拡大を抑えると同時に、再エネの比率を2倍に増やす計画を立てている
図1●2030年の電力の需給構造。「長期エネルギー需給見通し」に示されるように、政府は、省エネにより電力需給の拡大を抑えると同時に、再エネの比率を2倍に増やす計画を立てている
(出所:平成27年7月・経済産業省「長期エネルギー需給見通し」)
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 それに加えて、今後、再エネが主力電源としての地位を獲得するために、電源として必要な安心・安全・安定の3要素の獲得のための施策も強化された。基幹電源として発電能力を当初の計画通りに維持し、長期安定的な電源を確保すること。全世界的、全国的な視点からの安心・安全でなく、地域住民にも受け入れられるような存在であることも求められる。

 山を切り崩し、木を伐採してしまうような乱暴な太陽光は地域環境に大きな影響を与える。地域と対立するような発電所は再エネであっても長期に存立し得ない。こうした視点から適切な事業実施を確保するため、「設備認定」から「事業計画認定」へ認定制度が変更された。