固定価格買取制度(FIT)の改正により、過去に認定を受けた高いFIT価格の太陽光プロジェクトの認定取消が実施され、増設によってプロジェクトの採算性を高める方法も採用できなくなった(関連記事)。一方で、新規認定のFIT価格は下がり続けている。今後も、持続的に太陽光発電事業で成長していくためには、どのような方向性があり得るだろうか。

 改正FITにより、大規模な太陽光発電事業について、入札制度を通じて価格が決定されるなど、さらに厳しい環境下に置かれる。太陽光発電の先進的な事業者は、 FITの保護から外れることを視野に入れて事業計画を見直していく必要性を感じているはずだ。

 その時に重要となるのが太陽光発電による発電電力の「環境価値」だ。今回はこの環境価値について焦点を当ててみよう。

入札で買取価格を低めに誘導

 制度改正によって、連系出力2MW以上の太陽光発電については、買取価格が入札で決められるようになった。入札にかけられる容量は制度設計者によって決定される。入札にかけられる量が少なければ、買取価格は低めに誘導される(図1)。

図1●入札のイメージ
図1●入札のイメージ
(出所:経済産業省)

 買取価格が低くても事業化できる案件を優先的に実施させて賦課金を減らし、国民負担を下げようというのが趣旨である。実際の価格情報などは、指定入札機関(一般社団法人・低炭素投資促進機構:GIO)のサイトで入手できる。

 新制度の内容を見て感じるのは、太陽光発電はそろそろ FITから外れて一人立ちするときなのかもしれないということだ。FIT制度下で保護されてきた太陽光発電事業者も、広い外界の海に放り出される時期がきたのだ。