第4回の本稿では、太陽光発電所の売電収入アップの様々な工夫を取り上げる。売電収入を確実に増加させる手段として、これまで「パネルの増設」があったが、制度改正で規制されることになった。だが、そのほかにもいろいろな形で投資効率を改善できるような手法がある。今回はその施策として、「蓄電池の設置」「パワーコンディショナー(PCS)の省エネ」「太陽光パネルの洗浄」の3つを紹介する。

EVの普及で蓄電池が安くなる!?

 蓄電池を太陽光発電所に併設する時代になってきた。日産自動車の電気自動車(EV)「リーフ」の次期モデルは出来が良く、日本でも爆発的にEVが普及するかもしれない。また、中国や欧州ではバスなどが電気駆動となり、その蓄電池のリサイクルも義務化された。それらも手伝って、リユース(中古)蓄電池が安く手に入ることが見込まれる。

 太陽光発電に蓄電池を併設した場合、その使用目的としては、過積載部分のピークカット電力を蓄電池に貯め、夕方から夜にかけて蓄電池から電力を放出する、というパターンがある。また、出力抑制時の電力を貯め、それを売電するのにも有用である。出力抑制だけでなく、昼間に実施される系統工事のための解列時にも使用可能である(図1)。

図1●太陽光発電に併設した蓄電池システムの例
図1●太陽光発電に併設した蓄電池システムの例
(出所:日経BP)
[画像のクリックで拡大表示]

低圧案件に500kW分のパネルと蓄電池

 連系出力50kW弱の低圧案件に500kW分のパネルを設置し、蓄電池を設置して24時間50kW弱で売電するという面白い事例がある。これは受け入れる電力会社としても約50kWを安定的に供給してくれるとして好意的であるという。

 500kWのパネル容量で想定発電量は年間50万kWhとなる。毎時50kWで売電した場合、年間8760時間で売電しきれないだけの発電量は確保できる計算である。よって、あとは蓄電池の容量をどのくらい確保すべきかで経済性が左右されることになる(図2)。

図2●蓄電池を併設した場合の充放電イメージ
図2●蓄電池を併設した場合の充放電イメージ
(出所:HTソーラーホームページ)
[画像のクリックで拡大表示]