12円/kWhでもIRR4~5%達成へ

 現在の調達価格等算定委員会のコンセンサスは、太陽光発電のFIT単価は購入電気と同水準(グリッドパリティ)を目指すべきということである。

 10kW未満の住宅用の太陽光発電については、2019 年に「余剰電力」買取制度の買取期間が終わる案件が出てくる。その時期を目途に、太陽光発電のコストを低減させ、家庭用電気料金の水準(20円前後/kWh)を目標に買取価格を引き下げていく。そして、全量買い取りではなく、太陽光を自家消費する使用形態に誘導していく、というシナリオだ。

 10kW以上の事業用の太陽光発電についても、同様の形で産業用電力料金(12円前後/kWh)が価格の目安となるだろう。

 議論のポイントは、仮に買取価格が12円/kWhまで下がった段階でも、FITの対象として残すべきなのか、買取期間は20年のままで良いのか、現在の21円/kWhから何年で12円まで下げるべきなのか、という点である。

 この点、著者は12円/kWhまで買取価格が下がったとしても、プロジェクトファイナンスにより資金を調達する観点から、FITに残すことを望む事業者が多く、太陽光はFITから当分外れないのではないか、と考えている。

 また、その時期であるが、買取価格12円/kWhでIRR(内部収益率)4~5%を達成できるコスト水準の太陽光パネル(モジュール)、工事代、土地代は5年程度で実現可能であると考えている。

 低コストを促す要因としては、「太陽光パネルが世界的に余る」「モジュール効率が高まる」「ロボット活用の工法が一般的になる」「太陽光の安全性への理解が深まり、低リターンでも資金調達可能などの要因が予定どおり進む」などが考えられる。