スマホ記録ツールの強化でビッグデータ化進める

 日本KAIGOプラットフォームでは、人工知能による介護計画の作成効率の改善とともに、学習のリソースデータとなる介護記録の作成効率を改善していくことがポイントとなる。さくらコミュニティサービスが運営する介護事業所は、利用者の日々のバイタルデータや食事・排泄・入浴などをスマートフォンで記録するツールを2年前から試験的に利用してきた。今回、さらにツールの機能を強化し、自社運営の事業所だけでなく、全国の事業所がクラウドサービスとして介護アプリ・記録システムを利用できるよう無償提供していく予定だ。介護事業所の記録業務の効率化を推進するとともに、人工知能解析のためのビッグデータ化を進めることが狙いだ。

介護記録作成を効率化するための介護アプリ(開発中画面)
介護記録作成を効率化するための介護アプリ(開発中画面)
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 シンプルな操作、音声入力の利用などで介護記録業務の負担軽減、効率化を図ることに加え、外国語との相互翻訳が可能な介護アプリにする。介護施設に就労する外国人職員の日本語習得不足を援助するための機能である。

 これまで外国人介護者を受け入れる手段として経済連携協定(EPA)によるケースがあったが、2017年11月から外国人技能実習制度の受け入れ職種に介護が加わり、外国人就労者の増加が見込まれる。受け入れ環境の緩和に対して最大の課題は、日本語能力である。同社は2年前からミャンマーの社会福祉省と提携して、現地に介護職業訓練校を開設。「訓練生の半数にあたる約100は日本での就労を目的に、N3レベル(日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる)の日本語教育も行っている。ただ、介護記録を作成するとなると、(効率的な記録作成のために)多言語化は必要と考えた」(中元氏)と、介護アプリの多言語化対応の理由を説明する。

 介護アプリのプロトタイプは2018年2月頃の提供を予定し、2019年度には有料版アプリの開発にも着手する。また、バイタルデータなどの記録はさらに効率化するため、第2フェーズとしてウエラブルデバイスやセンサーなどと連携し、データ登録の自動化を進める。その接続のためのインタフェースを機器開発メーカーに公開し、参入を募っていくという。