シャープにとっては“復活戦”

 ヘルスケア・メディカル分野への本格参入はシャープにとって、“復活戦”でもある。同社は1960年代から、ポータブル輸液ポンプや電子式血圧計などの医療機器を開発・販売してきた実績を持つ。ただしその後は「メディカルではなく、半導体などに経営資産を振り向けた」(早野氏)ことで、医療器具用の超音波洗浄装置などを除いて、医療機器事業からは手を引いていた。

 鴻海の傘下に入ったことで、ヘルスケア・メディカル分野で再び存在感を高めるチャンスが訪れた。シャープライフサイエンスはAGEsセンサに続く非侵襲の生体センシング技術として、“音”に着目した製品開発などを進めているという。未病を中心としたヘルスケア分野に力を入れつつ、本格的な医療の領域に踏み込むことも躊躇しない。AGEsセンサについても今後、医療機器として販売するための薬機法許認可を視野に入れた開発を続けるという。「その障壁はそれほど高いとは考えていない」とシャープライフサイエンスの山中氏は自信をのぞかせている。

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