「“酸化”に続く健康のキーワードとして、“糖化”がメディアで盛んに取り上げられるなどブームになりつつある。まずはAGEs(エージーイー)という新たな指標を世に広め、これを測る習慣を根付かせたい」(シャープライフサイエンス 事業開発統轄部 ヘルスケア事業開発部 課長の山中幹宏氏)――。

発売したAGEsセンサ
発売したAGEsセンサ
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 シャープは2017年8月4日、関係会社のシャープライフサイエンスを通じ、「AGEsセンサ」と名付けた生体センサーを発売した(関連記事1)。これを皮切りに、ヘルスケア・医療分野に本格参入する。

 耳慣れない名前を持つ今回のセンサーを、シャープはなぜ今、世に問うたのか。開発/マーケティング担当者の言葉から、その理由を探っていこう。

「血糖値」は捨て、独自性を重視

 まずは、AGEsという指標になぜ着目したのか。背景には「お茶プレッソ」などに見られる着想の斬新さを重視するシャープの製品戦略と、光ディスク用ピックアップ部品やカメラモジュールで培った技術がある。

 AGEsセンサが測定対象とする「AGEs(advanced glycation endproducts)」とは、体内でたんぱく質が糖化してできる終末糖化産物のこと。食事などで過剰に摂取した糖と、人体の主な構成要素であるたんぱく質が結合することで体内に生成される老廃物で、人の加齢や健康、美容に関わる物質として精力的に研究が進められている。複数形のsが付いていることが示すように、具体的には多数の物質がAGEsに分類され、ペントシジンやクロスリンなど40種類ほどが知られているという。