今夏にはオンラインでの診察が開始

 実証ではこの次の展開として今夏、オンライン問診にオンラインでの診察とモニタリングを組み合わせた診療を導入する。普段は対面診療とオンライン問診で症状の変化を把握しつつ、経過観察の部分をオンラインで補完することでトータルの診療の質を高める狙いだ。インテグリティ・ヘルスケアは、医師と自宅にいる患者をつなぎ、オンライン問診とビデオチャットによる診察、バイタルデータのモニタリングを行えるシステムを開発中。これに対応する患者向けiPhoneアプリの提供をまもなく開始する計画だ。

「福岡市で実証したモデルを全国へ発信したい」と話す鉄祐会 グループ事業推進室 マネージャーの増崎孝弘氏(写真:諸石信)
「福岡市で実証したモデルを全国へ発信したい」と話す鉄祐会 グループ事業推進室 マネージャーの増崎孝弘氏(写真:諸石信)

 このアプリを使い、実証参加機関の一部で「医師と自宅の患者をつなぐトライアルを7月後半~8月に始めたい。オンライン診療がどのような患者に有効か、対面とオンラインでの診察をどのような頻度で組み合わせるのが良いか、などを明らかにしたい」と鉄祐会 グループ事業推進室 マネージャーの増崎孝弘氏は話す。まえだクリニックもこの実証に参加する予定だ。「患者にとっては、医師に対してちょっとした相談がしやすくなるのではないか。いざクリニックに来ると話しづらかったり、話し忘れたりすることもある。そうした患者の不安解消につなげたい」(前田氏)。

 オンラインモニタリングについては、当初は家庭用医療機器で測ったバイタルデータを手で入力する方式になる見込みだが、ゆくゆくは「血圧計や血糖値センサーとアプリが連携し、データが自動的にクラウドにたまるIoT(Internet of Things)の仕組みを取り入れたい」と増崎氏は話す。こうした仕組みで「家庭でのバイタルデータを把握できれば、病状コントロールの状態が一目瞭然になる。オンラインを使うことの有用性は一段と高まる」と前田氏は期待を寄せている。

今回の実証では、医師と自宅の患者をつなぐオンライン診察も導入する。写真はまえだクリニックの遠隔医療相談システムで、これから導入するオンライン診察システムとは別のもの(写真:諸石信)
今回の実証では、医師と自宅の患者をつなぐオンライン診察も導入する。写真はまえだクリニックの遠隔医療相談システムで、これから導入するオンライン診察システムとは別のもの(写真:諸石信)