カラダに装着して生活データや生体データを測定するウエアラブルデバイス――。測定パラメーターの拡充や機能の追加、デザイン性の追求など、差異化を図るために各社がしのぎを削っている(関連記事1234)。

 多くのウエアラブルデバイスは当初、一般消費者に向けて販売されてきた。しかし、アーリーアダプター層や健康管理への関心が高い層の手に行き渡ると、その勢いは頭打ちになってしまったのが現状だ。

 そこで目立ってきたのは、一般消費者向けではなく、BtoB領域に向けてウエアラブルデバイスを投入する動き(関連記事5)。健康経営に取り組む企業の健康保険組合向けや、臨床研究の効率化を狙う製薬企業向けなどが、その一例である。

「モフトレ」専用アプリの画面イメージと使用するウエアラブルデバイス「Moff Band」
「モフトレ」専用アプリの画面イメージと使用するウエアラブルデバイス「Moff Band」
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 こうした中、「高齢者向け」という新たな視点でウエアラブルデバイスの活用を模索しようとする試みが登場してきた。リストバンド型のウエアラブルデバイス「Moff Band」を製造・販売するMoffは2017年夏、デイサービスを提供する介護事業者に向けた介護予防プログラム「モフトレ」の販売を開始する。Moff Bandを使って日常生活動作の訓練やロコモ予防ができるプログラムである。

 モフトレは、2017年4月に開催された高齢者向けビジネスプランコンテスト「AGING2.0 TOKYO GLOBAL STARTUP SEARCH」で最優秀賞を獲得(関連記事6)。現在は、同年11月14~15日に米サンフランシスコで開催される「AGING2.0 OPTIMIZE 2017」への出場権をかけて世界各国からの選出企業と競い合っている真っ最中だ。

 ウエアラブルデバイスの活用先として、なぜMoffは高齢者に目を付けたのか――。その理由に迫った。