こうした中、妊活を支援するデジタルヘルス・ソリューションがじわじわと存在感を高め始めている。良く知られているのは、かねてエムティーアイが提供してきた「ルナルナ」。生理サイクルを記録することで、妊娠しやすい時期を予測するスマートフォンアプリだ。このほかにも、エイチームの「ラルーン」や日本エンタープライズの「女性のリズム手帳」など、同様のコンセプトを持つサービスは幾つか存在する。
さらに、ファミワンが2016年7月に提供開始した「FLIPP(フリップ)妊娠力判断」は、女性向けの妊娠力チェックサービス。サイト上の質問に答えると妊娠力が判断され、アドバイスが受けられる。
このように、さまざまな妊活ソリューションがしのぎを削っているものの、実はそのほとんどが女性に向けたもの。そんな中、異彩を放つサービスがここに来て登場した。リクルートライフスタイルが2016年11月に一般販売を開始した「Seem(シーム)」である(関連記事1)。「精子」の濃度と運動率を簡易に数値化するツール、つまり男性側から妊活を支援するソリューションなのだ。
Seemは、専用キットとiPhoneアプリから成る。まず、専用キットを使って精液のプレパラートを作成し、iPhoneのフロントカメラで精子の動画を撮影する。すると、アプリで撮影した動画から精子の濃度と運動率を自動で測定。アプリ画面上ではWHO(世界保健機関)が定めた基準値を確認することができるため、利用者が自身の記録と見比べることができる。
このサービスは、2017年3月に経済産業省が開催した「ジャパン・ヘルスケアビジネスコンテスト2017」のファイナリストの一つにも選ばれるなど、業界からの注目を集めている(関連記事2)。リクルートライフスタイルは今回、なぜ男性側の妊活支援に着目したのか――。その理由を追った。