医療界やアカデミア、行政・地方自治体、産業界など、さまざまなキーパーソンが参加した日経デジタルヘルス主催の座談会「情報化が切り拓く、ソーシャルホスピタル実現への処方箋」(座長:医療法人鉄祐会 理事長でインテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長の武藤真祐氏、特別協力:日本マイクロソフト、インテル)の第2回の様子を紹介する。
第1回座談会の様子はこちら
医療界やアカデミア、行政・地方自治体、産業界など、さまざまなキーパーソンが参加した日経デジタルヘルス主催の座談会「情報化が切り拓く、ソーシャルホスピタル実現への処方箋」(座長:医療法人鉄祐会 理事長でインテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長の武藤真祐氏、特別協力:日本マイクロソフト、インテル)の第2回の様子を紹介する。
第1回座談会の様子はこちら
吉田宏平氏 総務省 情報流通行政局 情報流通高度化推進室 室長
本座談会の中で「難解」との指摘があった「3省4ガイドライン」についてですが、このガイドラインは4年間改定していません。このため、スマホやタブレット端末が普及する以前の常識で作られているというのが問題です。
久保田健太郎氏 千葉市 保健福祉局 地域包括ケア推進課 医療政策班 主査
情報共有などにおいて、地域のネットワークと行政に壁があるのは、縦割り行政にも原因があると感じています。行政が縦割りな状態で地域にかかわっている現状をどう打開するのか。行政としては地域包括ケアや地域共生社会などの看板を掲げているので、まずはその意味を共有していく必要があるでしょう。
石本淳也氏 日本介護福祉士会 会長
実は、この座談会会場に来る途中、南青山(東京都)の交差点でトラブルに遭遇しました。男性が交差点の真ん中で倒れたのです。私は男性に付き添い、近くにいた他の女性が119番に電話してくれました。
平田俊浩氏 福岡市 保健福祉局 健康医療部 健康増進課
行政の保健福祉分野のセクションは、長年にわたって「制度ありき」で仕事を進めてきた背景があります。そのため職員には、ビジネス的な感覚があまり染みついていません。「制度は変わり得る」という感覚も薄く、「自分たちがチャレンジすれば制度は変えられる」という意識も根付いていません。地域包括ケアは行政と地域が一…
堀田聰子氏 慶応義塾大学大学院 健康マネジメント研究科 教授
疾病管理という視点に立てば、情報連携によって実現できることはまだまだ沢山あると思います。特に、慢性疾患のマネジメントやShared decision making(医師と患者が価値観を共有して治療方針などを決めること)では、情報連携が鍵を握ります。
平原優美氏 日本訪問看護財団立あすか山訪問看護ステーション 統括所長
医療と看護、介護の専門職をつなぐ情報連携のネットワークづくりが、全国で進んでいます。私達が訪問看護ステーションを置く東京都北区では、地域レベルで同様の仕組みを目指しています。280人ほどの医師、さらには訪問看護師などを加え、クラウドで情報連携するという形です。
中野 智紀氏 東埼玉総合病院 地域糖尿病センター センター長
医療・健康分野へのIT活用については、病気を治すことをいかに効率化するかに議論が傾きがちだと感じています。一人ひとりの生活に目を向ければ、それぞれはとても多様で複雑です。そうした多様さ、複雑さというものに対応するために、技術や情報をどう活用できるかという視点を持つことが大切ではないでしょうか。
富原早夏氏 経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課 課長補佐
在宅でのデータを含めた健康データを誰がどう使っていくのかは重要な論点です。医療機関が持っている医療情報と、生活空間で出回る生活情報を合わせることで、治療や保健指導の質が上がるのではないかと考えるからです。
黒田知宏氏 京都大学医学部附属病院 医療情報企画部 教授
SNSやIoTを通じて大量のデータが医師に流れてきます。自分が集めようとしなくても情報が勝手にやってきてしまう。そんな中ですべてのデータに目を通しきれるでしょうか。このままでは医師が倒れてしまいます。
狭間研至氏 ファルメディコ 代表取締役社長 医師・医学博士
医師でありながら薬局の経営に携わっているため、薬剤師の在り方に非常に興味を持っています。薬剤師の仕事は現在、“薬を患者に出すまで”という前提に基づいてビジネスモデルが組まれていることが多いです。
円城寺雄介氏 佐賀県 政策部 企画課 企画担当係長
救急現場を可視化するために、佐賀県ではすべての救急車にタブレット端末を配備しました。救急医療のIT化を行って気が付いたのは、技術的には可能であっても実現し難い事情があることです。例えば、現場の様子を動画や写真で医療機関と共有することは、技術的には10年以上前から可能です。
日本の3省4ガイドラインは「難解」
多職種連携などの仕組みが技術的には実現可能であるにも関わらず、なぜ日本ではなかなか浸透しないのか。法令やガイドラインが障壁となっている部分はあるのか――。第2回の座談会ではこうしたテーマを議論するに当たり、医療分野でのモバイルやクラウドの活用にかかわる法令やガイドラインの国内外の動向を、米Micro…
清水 由香氏 インテル インダストリー事業本部
医療・ヘルスケア分野の情報共有や連携のあり方は、海外ではどのように変わりつつあるのか――。座談会の議論に先立ち、医療IT分野に力を入れる米Microsoft社と米Intel社がそれぞれ紹介した。本記事では、Intel社が挙げた事例をレポートする。
Gabe Rijpma氏 Microsoft Asia, Senior Director of Health and Social Services
米Microsoft社でアジア地域のヘルスケア事業を指揮するMicrosoft Asia, Senior Director of Health and Social ServicesのGabe Rijpma氏は、「医療に力を」と題し、クラウドやモバイルを用いた新しい医療提供の米国における事例を紹介し…
武藤真祐氏を座長に第2回の議論開始、海外事例の紹介も
日経デジタルヘルスは2017年4月7日、座談会「情報化が切り拓く、ソーシャルホスピタル実現への処方箋」(座長:医療法人鉄祐会 理事長でインテグリティ・ヘルスケア 代表取締役会長の武藤真祐氏、特別協力:日本マイクロソフト、インテル)の第2回を開催した。本企画は、医療界やアカデミア、行政・地方自治体、産…