医療・ヘルスケア分野の情報共有や連携のあり方は、海外ではどのように変わりつつあるのか――。第2回座談会の議論に先立ち、医療IT分野に力を入れる米Microsoft社と米Intel社が海外事例をそれぞれ紹介した。本記事では、Intel社が挙げた事例をレポートする。

 Intel社日本法人のインテル インダストリー事業本部の清水由香氏は、遠隔医療の欧米での実践例などを紹介しながら、同社の医療・ヘルスケア分野への取り組みを語った。

インテル インダストリー事業本部の清水由香氏(写真:加藤康、以下同) 
インテル インダストリー事業本部の清水由香氏(写真:加藤康、以下同) 
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 清水氏はまず、医療・ヘルスケア分野ではケアの提供方法や保険の支払い基準など、さまざまな面で大きな構造変化が起こっていると話した。他業界で参考になる例として、米Uber Technologies社や米Airbnb社など、まったく新しいビジネスモデルを打ち立てた企業の名前に言及。医療・ヘルスケア分野でも、こうしたパラダイムシフトが起きるのを恐れるのではなく、変革に対して前向きな姿勢でいることが必要だと語った。

 米国を中心に、医療・ヘルスケア分野では大きく4つの構造変化が起きていると同氏は指摘する。

 第1に、医療保険の支払い基準などにおいて、ケアの量よりも質(価値)を重視するヘルスケア・リフォームの動き。第2に、データを活用したリスク階層化や個別化アプローチを通じ、すべての人の健康改善を目指すポピュレーションヘルス。第3に、遠隔医療など医療提供のあり方の変化。第4に、医療機関から在宅へという医療提供の場の変化。

 清水氏が特に説明に力を入れたのは、遠隔医療に関して。遠隔医療サービスの利用者数が、2013年時点の35万人から2018年には700万人に増えるとの予測を紹介した。医療機関の受診方法に関する米国での調査では、深夜の急病や薬の処方依頼についてはビデオ診療(遠隔診療)を望む声が多かったという。欧州でも遠隔診療による患者見守りが法律でサポートされるなど、遠隔医療の取り組みはかなり進んでいると説明した。