トヨタ自動車は自動運転や人工知能(AI)の開発で他社との提携や協業が少ない一方、グループ企業との連携を深めている。グループ企業との連携は当然に思えるが、トヨタはかねてグループ内で積極的に競わせることで競争力を高めてきた企業だ。

 グループ内で競争がない場合、トヨタ自らが競合部品を開発・生産し、競うことをいとわない。だが、IT企業などとの競争が激しい自動運転やAIの開発資源は膨大になる。グループ内の競争は抑え、各社で役割分担しながらグループ全体で異業種との競争に臨む。

図●自動車開発の付加価値は、自動運転技術や交通サービスに移る
図●自動車開発の付加価値は、自動運転技術や交通サービスに移る
トヨタはグループ企業と役割分担しながら全ての領域を手掛ける算段のようだ。自動運転や交通サービスでの競争は、グーグルなどの自動車業界以外の企業との「異種格闘技戦」になる
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 とりわけ、中核となる自動運転の制御アルゴリズムの開発に力を注ぐトヨタ。機械学習の手法の一つであるディープラーニング(深層学習)をはじめ、クルマの乗員の状態を把握するAIの研究などに熱心である。

 トヨタは過去にグーグル(現アルファベット)から提携を打診されたものの、断った経緯がある。AIを今後の自動運転開発の中核と捉え、同社との提携で主導権を握られかねないことを警戒した。自動運転のカギを握るAI技術については、なるべく自らの手の内に収めたい考えだ。