ネット系技術者で電子技術を使ったメディアアート作品の製作も手掛ける、GMOインターネット 特命担当技術分析官の新里 祐教氏。同氏が米ON Semiconductor社(以下、ON Semi社)のIoT Development Kit(IDK)で遊ぶシリーズ、第3回となる今回はアプリケーションを作っていく。IDKのファームウエアとWebブラウザーを連携させることで、モーターの動作に加えて音声通知を行う機能を実現する。

 前回に引き続き、ON Semi社のベースボード「BB-GEVK」を中心とするIDKを使い、アプリを作っていこう。

 まずは、BB-GEVKにステッピングモータードライバー、Wi-Fiシールド、光センサー、アクチュエーターとしてステッピングモーターを“フル装備"で接続した時に何ができるのかを考えよう。実はこの構成は、ON Semi社がSDKのサンプルで提供している「光センサーの値を使ってシャッターの開閉を制御する」アプリの構成に当たる。

 光センサーの値やステッピングモーターの回転角度を、Carriotsというクラウド上のIoTプラットフォームにデータを送信する、というものだ。Carriotsにはコンセプト検証に向けて無料試用版が用意されており、アカウント登録すれば手軽に試すことができる。この構成でIDKのサンプルアプリをビルドすれば、IoTプラットフォームとの連携を簡単に試すことができる。

 今回は、このサンプルをベースに少し工夫をして、Webブラウザーと連携して動作するアプリを作ってみることにした。光センサーの値によるシャッターの開閉に加えて、(1)光センサーとステッピングモーターの回転角度をブラウザー上に表示すると共に、(2)ブラウザーが「シャッターを開けるよ」「シャッターを閉じるよ」と音声で読み上げる機能を加えることにした。

図3.1 光センサーの値からブラウザーと連携
図3.1 光センサーの値からブラウザーと連携
光センサーの照度とステッピングモーターの回転角のデータがブラウザーに表示されている。この時に、ブラウザーは「シャッターが開いたよ」「シャッターが閉じたよ」と音声で読み上げるようにした。ピンク色の2.5インチフロッピーディスクはモーターの回転がわかりやすくなるように手元にあったものを貼付けただけ。
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 最近、話題になっているAIスピーカー「Amazon Echo」、「Google Home」、「LINE Clova Wave」などは、ハンズフリーで音声によって端末制御できるのが利点とされている。同様に、IDKが処理した内容を単にデータとして保持するのではなく、音声で通知するようにすれば、手を止めることなく耳で聞いて状況を理解できる、と考えたのだ。