インターネット関連事業を展開するGMOインターネット 特命担当技術分析官を務め、各種IoTデバイスに詳しい技術者である新里 祐教氏。同氏が今回試用しているのは、米Texas Instruments社(以下、TI社)の「SimpleLink SensorTagキット」(以下、SensorTag)ファミリーの1製品で、Wi-Fi接続方式の「SimpleLink Wi-Fi CC3200 SensorTag(CC3200STK-WIFIMK)」だ。

 前回、ファームウエアを開発しようとしたところ、コネクターはあるのにデバッガーにつながらず、途方に暮れた。すると、そもそもWi-Fi版SensorTagは開発・試作用ではなかったという、“衝撃の真実”が明らかになった(注:編集部および新里氏が気づかなかっただけで、TI社の製品ページなどでは注意事項として明記されている)。今回、新里氏はめげずにセンサーデータの取得を試みる。

 独自アプリケーションを作ろうとファームウエアの開発を試みたが、Wi-Fi版SensorTag「CC3200STK-WIFIMK」はデモ用であってファームウエアの開発はできない製品であることが判明した。だからといって、何もできないというわけではない。 SensorTagはWiFiに接続できて暗号化技術である「TLS」も機能として持っている。ファームウエアを開発してスマホ経由の設定を行わなくても、直接、直接SensorTagに接続してセンサーデータを取得してセンサーデータを利用したり、インターネット側からSensorTagの動作を制御したりするようなアプリケーションを作成できるのではないか、と考えた。

図3.1 SensorTagにパソコンから接続
図3.1 SensorTagにパソコンから接続
SensorTagの設定情報ページ。SensorTagにパソコンからブラウザーでアクセスした時に表示される。
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 Wi-Fi版SensorTagは、Wi-Fiに接続するとパソコンから直接ブラウザーでアクセスできるようになっている。IPアドレスをHTTPで開くと、MACアドレスや割り当てられたIPアドレス、起動時刻などが分かる。このほか、設定画面からはWi-Fi アクセスポイント(AP)の設定やpingでの疎通確認を行うことができる。

 センサーデータの取得を目指すうえでまず目をつけたのが、この設定画面は「HTTPS」ではなく「HTTP」でアクセスできるという点だ。スマートフォン(スマホ)からSensorTagにアクセスしてセンサーデータを取得する時も、HTTPで行っている 可能性が高い。仕様は公開されていないものの、SensorTagとスマホの間のパケットをキャプチャーして見ることができ、恐らくSensorTagにアクセスしてデータを取れるだろう、と予想できる。

 ここで、非公式の手法として、SensorTagのセンサーデータにWi-Fi経由で直接アクセスするための手順を、順を追って紹介していく。なお、Wi-Fi版SensorTagの資料や仕様には記載されておらず、公式の内容ではないことをあらかじめお断りしておこう。