ネットサービス企業のGMOインターネットで特命担当技術分析官を務める技術者の新里 祐教氏が、IoT開発キットで遊んでみる連載企画の第1弾。今回から2回で取りあげるのは、米Cypress Semiconductor社の「Solar-Powered BLE Sensor Beacon Reference Design Kit(DRK )」である。10円玉大のセンサービーコンで温度、湿度を測定してBLE(Bluetooth Low Energy)で外部に送る機能を持つ。内蔵した太陽電池を使い、環境光で稼働し続ける。温度や湿度を管理するようなIoTサービスのプロトタイプに使えそうだが、新里氏はどんな風にみただろうか(編集部)。

 Solar-Powered BLE Sensor Beacon Reference Design Kitは米Cypress Semiconductor社が提供するIoT開発キットの1つである。環境光だけで温度、湿度をセンシングしてデータをBluetooth Low Energy(BLE)で発信する機能を備える、いわゆるセンサービーコンの「Solar BLE Sensor」(図1)と、BLEのMajor IDなどの設定を変更するデバッグボード「BLE-USB Bridge and Debug Board」(図2)の組み合わせが、基本のセット「CYALKIT-E02」となる。

表面
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裏面
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図1 Solar BLE Sensor。表面には太陽電池と温湿度センサー、裏面にはキャパシターや電源管理ICなどが実装されている
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裏面
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図2 BLE-USB Bridge and Debug Board

 Solar BLE Sensorは専用ケースに入った状態でも10円玉サイズで、重量も約3.5g(実測)と非常に軽い(図3)。最低100ルクスの環境光で動作するとする。この種の小型ビーコンは以前からあるが、単三電池やコイン電池を電源に使うタイプが多い。超低消費電力のBLEとこれに対応した制御ICを利用してビーコンの消費電力を下げ、電池だけで数カ月動作させるわけだ。逆にいうと、どこかのタイミングで電池が切れたら動作は停止する。実用で使うには電池切れを起こす前に電池交換を行う運用が必要になる。

図3 ほぼ10円玉サイズ
図3 ほぼ10円玉サイズ
センサービーコンは直径25mm×高さ5.5mmのケースに収められている。
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