テーマ群管理の必要性

 この10年間、新規事業開発のマネジメントで最も導入が進んだものの1つにステージゲート法があります。ステージゲート法の詳細は第22回にて解説しますが、簡単にいうとアイデア出し、フィージビリティー・スタディ、事業開発、事業化準備というようなステージを定義し、各プロジェクトのステージの節目で事業性評価を行い、プロジェクトのGo/Stopを判断する手法です。

 新規事業開発は定常的なオペレーション業務と比較して新しいチャレンジが多く、創造性が必要とされるため、かつては管理がそぐわないとの考え方が主流でした。しかしそれでは、投資に見合った効果を得られないことが多く、個々のプロジェクトの収益性(キャッシュイン)や実現性(キャッシュアウト)をチェックしていかなければならないと考える企業が増えました。

 新規事業開発は成果獲得までに時間がかかりますが、ステージゲート法は10年以上前から取り組んでいる企業もあり、中には新規事業開発プロジェクトの成功率向上や投資対効果向上の成果を獲得している企業も少なくありません。

 ただし、どの手法にもいえることですが、メリットばかりではありません。ステージゲート法の場合もいくつかのデメリットが生じています。新規事業開発のように不確実性の高い投資案件を推進する際、ステージゲート法で個別テーマの管理のみを行い、複数のテーマを俯瞰した視点での管理が不十分であると、以下のような問題点が発生しやすくなります。

[1] ローリスク・ローリターンなテーマが増え、チャレンジングなテーマが減る傾向にある

[2] チャレンジングなテーマに関しては、予測が難しいためにステージゲート法が機能しにくく、結局声の大きい関係者によってGo/Stopが決まり、ステージゲート法導入以前の未管理な状況と判断結果はあまり変わらない

[3]個別テーマに目標が割り付けられ、その達成/未達成で組織や個人の評価が行われる場合、メンバーがアイデアの発案に慎重になり、発案数が減る傾向にある