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HOMEものづくり新米上司に贈る「トヨタ流人づくり」の極意 > トヨタの上司は「部下の悩み」を共有する

新米上司に贈る「トヨタ流人づくり」の極意

トヨタの上司は「部下の悩み」を共有する

  • 肌附 安明=HY人財育成研究所 所長
  • 2017/09/13 05:00
  • 1/2ページ

出典:日経ものづくり、2015年6月号、pp.92-96(記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります)

本コラムでは、日本メーカーの管理者が抱える悩みに関して、トヨタ自動車流の解決方法を回答します。回答者は、同社で長年生産技術部門の管理者として多数のメンバーを導き、その後、全社を対象とする人材育成業務にも携わった経歴を持つ肌附安明氏。自身の経験はもちろん、優れた管理手腕を発揮した他の管理者の事例を盛り込みながら、トヨタ流のマネジメント方法を紹介します。
悩み
今年になって課長を任されることになりました。たくさんの部下ができ、新入社員も入ってきました。しかし、管理者となって感じるのは、部下が仕事に対する積極性に乏しいことです。命じたことはきちんとやってくれるのですが、それ以上の仕事はあまり期待できません。そのため、例えば新しい提案が上がってくるといったことが期待できないのです。部下に期待を超える活躍をしてもらう良い方法はありませんか。

前回から)部下のやる気を引き出すためには、上司は部下の仕事ぶりに関心を持ち、ねぎらう必要があると肌附氏は説く。ねぎらいの言葉をかけない管理者の下では、部下は達成感を得られず、次の仕事へのやる気を失って、士気が低下してしまうからだ。では、それを実施するに具体的にはどうすればよいだろうか?

「お疲れさん」だけでは不足

編集部:部下の仕事をねぎらうと聞くとごく当たり前のように感じますが、改めて指摘されると難しいですね。具体的にはどのような言葉をかければよいのでしょうか。

肌附氏— 言葉の問題ではありません。大切なことは、部下を気遣い、担当する仕事に関心を持つことです。例えば、仕事で目標を達成した部下が報告に来た時には、成功に至るまでの苦労話を聞く。そして、その難易度や苦労の度合いなどに応じて、「そこまで苦労してやってくれたのであれば、きちんと評価してあげないといけないね」などと言ってあげるのです。

 部下が仕事で悩んでいたり難しい問題に直面していたりする場合には、管理者はその悩みや問題を自分が抱えたものでもあると捉えて、一緒に解決法を探っていこうと声をかけることが大切です。人ごとにせず、自分のこととして捉えるということです。

 管理者自身が部下の代わりに解決策を考案する必要はありません。管理者にそこまでの時間的な余裕はありませんし、部下を育成する機会も奪ってしまいます。そうではなく、悩みに耳を傾けたり、どのような問題で壁に当たっているのかの説明を聞いたりした上で、アドバイスを与えて解決に向かう手助けをするのです。

 解決に直接関係するヒントがあればそれに越したことはありませんが、視点を変えて頭を柔軟にさせるようなアドバイスでも構いません。全く知らない分野の仕事の場合には「私も何とかしてあげたいが、アイデアが浮かばないんだ」と言ってあげるだけでもいい。それどころか、仕事や会社に対する愚痴を聞くだけでも構わないのです。重要なことは、部下に「この上司は悩みや問題を共有してくれる」と思ってもらうことだからです。

編集部:悩みや問題を共有してくれる上司だと感じてもらえると、部下はどのように変わるのでしょうか。

肌附氏—「この上司のためだったら頑張るぞ」と思う部下が増えていきます。そして、次第に自分の責任範囲を超えた仕事にも挑戦していくように変わっていくのです。精神論や浪花節的、古くさい考えなどと感じる人もいることでしょう。しかし、トヨタ自動車で優秀と評価される管理者は例外なく、部下をきちんとねぎらうことを大切にしています。このことが部下のやる気を高めて自ら積極的に動き、結果的に期待以上の成果につながる可能性が高まると、代々の管理者から伝えられているからでしょう。

 ねぎらうことは、大きなプロジェクトでも効果を発揮します。プロジェクトは大きくなるほど、部下や他部署の協力者に頼る割合が増えます。プロジェクトで自分が直接制御できる割合はせいぜい3割程度。残りの7割は自分が直接解決できず、部下や協力者の力に期待することになります。

 ねぎらうことで部下や協力者が「あのプロジェクトリーダーのためなら頑張ろう」と感じるようになり、それぞれが期待以上の働きをした。その結果、不可能と思われていたプロジェクトが成功を収めたという経験を、過去にトヨタ自動車はたくさんしてきました。社員の力は、技術や知識といった目に見えるものだけでは測れません。やる気や積極性、上司の思いに報いたいといった、心、すなわち精神的な活力もかなりの力を秘めていると、トヨタ自動車の管理者の多くは考えているのです。

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